著者
平岡 久忠 滝川 一晴 筋野 隆 星 和人 松平 浩 中村 耕三 岡崎 裕司 平岡 久忠 滝川 一晴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究においてわれわれは先天性下腿偽関節症の偽関節部では、介在する線維性軟骨により骨の連続性が絶たれていること、骨・軟骨は多数のTRAP陽性、vitronectin receptor陽性の多核巨細胞、破骨細胞により浸食されていること、骨形態計測の手法を用いた結果、偽関節部では破骨細胞数および破骨細胞表面が成人の外傷性偽関節組織にくらべて約4倍に亢進していることを明らかにした。またさらに症例を重ねて、昨年来行っている偽関節組織に対する生化学的検討を続行しその再現性を確認した。手術時に切除した偽関節組織からmRNAを調整し、破骨細胞形成のマスター分子であるランクリガンドの発現をRT-PCR法を用いて調べた。その結果、先天性脛骨偽関節症では外傷性偽関節にくらべてランクリガンドの発現が亢進していることがわかった。同様の知見は抗ランクリガンド抗体を用いた免疫組織化学によっても確認した。以上の検討より先天性下腿偽関節症ではその偽関節部において破骨細胞形成のマスター分子であるランクリガンドの発現が亢進し、その結果破骨細胞形成が促進されていることが明らかとなった。これらの破骨細胞は骨・軟骨組織を浸食し正常な骨癒合を妨げていることが推測された。
著者
真野 浩志 滝川 一晴 芳賀 信彦
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1185-1196, 2020-12-18 (Released:2021-03-13)
参考文献数
23
被引用文献数
2

小児総合医療施設は,医療型障害児入所施設をはじめとする障害児療育施設と並んで小児リハビリテーションが実施される場であるが,リハビリテーション科医・関連専門職の配置をはじめとする診療体制の現状について,これまで知られていない.本研究は,小児総合医療施設におけるよりよい小児リハビリテーション診療の実施につなげるために,リハビリテーション診療体制の現況を明らかにすることを目的とした.一般社団法人日本小児総合医療施設協議会会員施設を対象としたアンケートにより,リハビリテーション診療体制に関する全国調査を行った.施設あたりのリハビリテーション科医の中央値は,常勤医師1名,うち専門医0名,指導医0名と,きわめて少なかった.また,常勤の理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床心理士の中央値はそれぞれ9人,5人,3人,2人であった.職員の配置については,リハビリテーション科医および関連専門職種職員に対する増員の希望が多かった.日本リハビリテーション医学会認定研修施設は全体の約半数に留まり,リハビリテーション料における施設基準も種目によっては疾患別における(Ⅱ)の届出に留まっている施設がみられた.よりよい小児リハビリテーション診療を実施し,研究,教育を充実させていくためには,人員配置を含めた適切な診療体制の構築や,診療や専門研修における施設基準などの病院機能の拡充が必要と考える.