著者
山口 正貴 高見沢 圭一 原 慶宏 後藤 美和 横田 一彦 芳賀 信彦
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11136, (Released:2016-06-01)
参考文献数
36
被引用文献数
2

【目的】6 ヵ月以上持続している慢性の非特異的腰痛患者に対するMcKenzie 法(以下,M 群)とストレッチング(以下,S 群),その両方(以下,M+S 群)の介入効果について検討する。【方法】directional preference(DP)を認めた症例98名をM群31名,S群35名,M+S 群32名に分類し,週1 回の介入と4週間のセルフエクササイズを指導した。【結果】3 群とも介入前後でVAS,ROM,SF-36,JOABPEQ,Oswestry Disability Index(以下,ODI)の全項目で有意な改善を認めた。さらにROM はM+S 群>M 群・S 群,VAS(腰痛)とODI はS 群・M+S 群>M 群で有意差を認めた。【結論】3 群とも疼痛,身体機能,精神機能すべてに有効性を認めた。群間比較ではM+S 群>S 群>M 群の順に高い効果を認めた。
著者
山口 正貴 高見沢 圭一 原 慶宏 後藤 美和 横田 一彦 芳賀 信彦
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.440-449, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
44

【目的】6 ヵ月以上持続している慢性の非特異的腰痛患者に対する4 種のストレッチングの介入効果を,初回評価におけるdirectional preference(以下,DP)の有無で比較することで,初回評価のDP がストレッチング治療におけるサブグループ化の指標になるかを検討すること。【方法】初回評価でDP を認めた症例41名,DP を認めなかった症例32 名に分類し,週1 回の介入と4 週間のセルフエクササイズを指導した。介入前後でVAS,ROM,SF-36,JOABPEQ,ODI を評価した。【結果】いずれの項目も群間には有意差を認めず,2 群とも介入前後で全項目に有意な改善を認めた。【結論】慢性の非特異的腰痛患者に本ストレッチングを施行する場合,初回評価のDP の有無にかかわらず,疼痛・身体機能・精神機能すべてに有効性を認めたことから,今回の一定の条件下では,本ストレッチングの成果にDP の有無は関与しない可能性が示唆された。
著者
安井 健 横田 一彦 長野 宏一朗 芳賀 信彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-5, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
10
被引用文献数
7 1

〔目的〕特定機能病院において退院支援は重要であり,1大学病院における理学療法士の退院調整への関与状況を調査した.〔対象と方法〕対象病院の理学療法部門および退院支援専門部署が介入した患者の,3ヶ月間での転帰と両部門の重複介入の状況,理学療法士による在宅調整の実施状況を,整形外科とそれ以外の依頼科に二分して比較した.〔結果〕理学療法部門と退院支援専門部署が重複介入している患者で転院率が有意に高かった.整形外科以外の患者では,整形外科の患者に比して在宅調整への介入率が有意に高かった.〔結語〕特定機能病院では,整形外科以外の分野で理学療法士の在宅調整への積極的な関与が求められることが示唆された.
著者
安井 健 鷲尾 智子 横田 一彦 粟井 直子 中原 康雄 緒方 直史 芳賀 信彦
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1569, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】副腎皮質ステロイドは自己免疫疾患をはじめ広く使用される薬剤であるが,投与期間が長期に及ぶことが多く,入院期間も長くなりがちである。副作用としての筋力低下は,遅発性に近位筋優位に生ずる点,生化学的検査所見の乏しさと確定診断の困難さ,発症の個人差などから見落とされやすく,ベッドを用い,階段の使用などに制限のある入院生活においては,転倒などの問題が顕在化してから主科よりリハ依頼があることがほとんどであった。当院では,理学療法を必要とする対象者の実態を把握し,もれなく早期から介入することを目的に,病棟と連携した試みを行っており,その内容と経過を報告する。【方法】対象病棟は,アレルギーリウマチ内科および呼吸器内科の専有病棟で,対象者は,ステロイドの長期加療(パルス療法と後療法,中等量(0.5mg/kg/day)以上からの漸減投与など)により長期入院が予定され,かつ,加療前の段階では歩行が自立しており,運動器障害による理学療法(PT)の介入の必要性が低いと考えられる患者である。この中で,病棟看護師のスクリーニング評価によって筋力低下が疑われた場合,看護師がリハサイドに報告するとともに主科にリハ依頼を提案,依頼のあった患者に対してPTを行った。スクリーニング評価の内容は,①近位筋の筋力評価(SLR,ブリッジ,頭部拳上,ベッドフラットからの起き上がり,ベッド端座位からの起立の各動作の可否やできた回数を,加療前と加療開始後4週毎に評価),②筋力低下の自覚症状を聴取,または患者からの自己申告,の2項目で,家屋状況の聞き取り(階段の有無,ベッド等の所有状況,しゃがみ立ちの必要性など)を補助項目とした。また患者への啓蒙のため,パンフレットを作成して対象者へ配布した。【倫理的配慮,説明と同意】リハ医学に関する後ろ向きの疫学研究に関して,東京大学医学部倫理委員会の承認を得ている。【結果】平成25年4月1日~10月31日に対象病棟を退院した患者のうち,ステロイド加療にて1か月以上入院した患者は28名(男8名,女20名,平均年齢60.0±15.6歳)であった。このうち,入院中を通して歩行が自立していたのは21名(男5名,女16名,平均年齢60.2±15.3歳),その中でPTが介入したのは6名(すべて女性,平均年齢57.8±15.0歳)で,すべてスクリーニングを通して依頼があった患者であった。歩行が自立していなかった7名は,入院前から有する運動器障害や呼吸障害の増悪,術後の廃用などの理由で既にリハ依頼があり,すべてにPTが介入していた。スクリーニングで選定された6名はすべて,上記①では問題を呈さなかったが,ステロイド加療開始後1ヶ月前後(平均36.2±20.5日,中央値28日,最大値77日,最小値23日)で自覚症状を呈し,PTの介入に至った。すべて自宅退院したが,自宅環境では,6名中5名において,階段昇降や床からの起立動作が必要であるなど,入院環境とのギャップがあった。診断のために%クレアチン尿の計測を行った症例はなかった。骨格筋の状態を,CT画像による大腿部や股関節周囲筋の筋量の変化で確認できた症例が1名あり,腸腰筋および大殿筋の明らかな萎縮を示していた。PTによる筋力評価は,起立や階段昇降の動作方法の介入中の変化や,入院前に行っていた方法との比較により行った。PT開始時の筋力低下の程度にはばらつきがあり,介入頻度は週2~5日で適宜調整した。退院時,6名中4名は入院前レベルの筋力まで回復せず,動作方法の指導や在宅環境調整を必要とした。【考察】スクリーニング症例はすべて,入院生活上では歩行に制限がなく,今回の関与がなければPTが介入することなく自宅退院となり,退院後の生活に困難さを生じた可能性がある。スクリーニングにおいては,とくに筋力低下の自覚症状の出現に着目することが有用である。生化学的検査所見に乏しいが,CT画像で筋量の推移を評価できる場合がある。PTによる筋力の評価では,全身性疾患や,呼吸・循環器系の障害をもつ症例には計測機器を用いた最大筋力の測定にはリスクを伴うため,起居動作や階段昇降における動作方法とそれに要する筋力に着目することが有効で,退院時指導の際にも有用である。【理学療法学研究としての意義】病棟看護師と連携することで,ステロイド筋症が疑われる患者へのPTによる早期かつ適切な対応が可能となり,円滑な自宅退院に寄与できる。
著者
真野 浩志 滝川 一晴 芳賀 信彦
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1185-1196, 2020-12-18 (Released:2021-03-13)
参考文献数
23
被引用文献数
2

小児総合医療施設は,医療型障害児入所施設をはじめとする障害児療育施設と並んで小児リハビリテーションが実施される場であるが,リハビリテーション科医・関連専門職の配置をはじめとする診療体制の現状について,これまで知られていない.本研究は,小児総合医療施設におけるよりよい小児リハビリテーション診療の実施につなげるために,リハビリテーション診療体制の現況を明らかにすることを目的とした.一般社団法人日本小児総合医療施設協議会会員施設を対象としたアンケートにより,リハビリテーション診療体制に関する全国調査を行った.施設あたりのリハビリテーション科医の中央値は,常勤医師1名,うち専門医0名,指導医0名と,きわめて少なかった.また,常勤の理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床心理士の中央値はそれぞれ9人,5人,3人,2人であった.職員の配置については,リハビリテーション科医および関連専門職種職員に対する増員の希望が多かった.日本リハビリテーション医学会認定研修施設は全体の約半数に留まり,リハビリテーション料における施設基準も種目によっては疾患別における(Ⅱ)の届出に留まっている施設がみられた.よりよい小児リハビリテーション診療を実施し,研究,教育を充実させていくためには,人員配置を含めた適切な診療体制の構築や,診療や専門研修における施設基準などの病院機能の拡充が必要と考える.
著者
山口 正貴 高見沢 圭一 原 慶宏 後藤 美和 横田 一彦 芳賀 信彦
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.305-314, 2016 (Released:2016-08-20)
参考文献数
36
被引用文献数
1

【目的】6 ヵ月以上持続している慢性の非特異的腰痛患者に対するMcKenzie 法(以下,M 群)とストレッチング(以下,S 群),その両方(以下,M+S 群)の介入効果について検討する。【方法】directional preference(DP)を認めた症例98名をM群31名,S群35名,M+S 群32名に分類し,週1 回の介入と4週間のセルフエクササイズを指導した。【結果】3 群とも介入前後でVAS,ROM,SF-36,JOABPEQ,Oswestry Disability Index(以下,ODI)の全項目で有意な改善を認めた。さらにROM はM+S 群>M 群・S 群,VAS(腰痛)とODI はS 群・M+S 群>M 群で有意差を認めた。【結論】3 群とも疼痛,身体機能,精神機能すべてに有効性を認めた。群間比較ではM+S 群>S 群>M 群の順に高い効果を認めた。
著者
芳賀 信彦
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.10-14, 2009-01-01 (Released:2012-02-21)
参考文献数
17