著者
澤崎 達也
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.9-16, 2021 (Released:2021-07-28)
参考文献数
29
被引用文献数
1

生体内のタンパク質の多くは,他のタンパク質と相互作用し複合体を形成することにより機能している.特に高等生物では,複合体タンパク質形成はタンパク質の機能制御機構の1つであることが明らかである.そのため複合体形成の理解を助ける相互作用タンパク質解析は,生物の高次機能を解明するための重要な研究テーマといえる.相互作用タンパク質を解析する手法として,近位依存性ビオチン化酵素を目的タンパク質に融合し,近接タンパク質をビオチン標識するBioID法の技術が開発された.最近我々は,膨大なゲノム配列データを基盤にin silicoにより祖先型タンパク質をデザインするアルゴリズムを用いて,新たな近位依存性ビオチン化酵素ancestral BirA for proximity-dependent biotin identification(AirID)の開発を行った.本総説では,近位依存性ビオチン化酵素として代表的なBioIDとTurboIDおよびAirIDの概要と,近位依存性ビオチン化酵素を用いたタンパク質相互作用解析の例について紹介する.
著者
大村 浩一郎 澤崎 達也
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)は関節リウマチ(RA)の特異的自己抗体であるが、早期RAの約半数は抗CCP抗体陰性であり、診断がしばしば困難であるため抗CCP抗体陰性RAの特異的な診断マーカーが求められている。今回我々はAlphaScreen法と呼ばれる自己抗体の網羅的スクリーニング法を用いて抗CCP抗体陰性RA血清中にみられる未知のシトルリン化蛋白抗体のスクリーニングを行った。2000種類あまりのシトルリン化蛋白のうち、14個の未知のシトルリン化蛋白に対する反応がみられ、そのうち2個が頻度は少ないながら新規自己抗体であることが明らかになった。
著者
戸澤 譲 澤崎 達也 遠藤 弥重太
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.3-8, 2003-02-28 (Released:2010-09-30)
参考文献数
11

With the sequencing of the genomes of various species, attention has turned to the structure, properties, and functional activities of proteins. However, rapid progress in the area of proteomics is premised on the availability of sufficient amounts of a large number of proteins. Here we described a novel cell-free system from wheat embryos for the high-throughput screening/ synthesis of gene products. Our system should open up many possibilities in the post-genome era.