- 著者
-
澤田 克彦
広岡 禎
- 出版者
- 一般社団法人 日本薬剤疫学会
- 雑誌
- 薬剤疫学 (ISSN:13420445)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.1, pp.31-37, 2014-06-30 (Released:2014-08-13)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
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4
医薬品副作用データベース(英名:Japanese Adverse Drug Event Report database,略称;JADER)が 2012年4月から一定の利用規約条件のもと,誰もがダウンロードし,利用できるようになった.今回我々は医薬品副作用被害救済制度の対象となる症例が増加している重症薬疹に着目し,代表的な重症薬疹の特徴と重症薬疹ごとの被疑医薬品の傾向,共通点について JADER を利用して分析を試みた.手法としては頻度集計に加え,副作用と医薬品の報告不均衡に基づく ROR(Reporting Odds Ratio)の推定,ならびに副作用発現時間の Weibull 分布あてはめによる分布パラメータ推定を適用した.JADER には重複報告を除き 10,171 件の解析対象とする重症薬疹の報告が含まれ,臨床経過や被疑医薬品のプロファイルに特徴を有する Drug Induced Hypersensitivity Syndrome(DIHS:薬剤性過敏症症候群)は JADER のデータにおいても抗てんかん薬など特徴的な被疑医薬品の報告件数が多いことが確認できた.一方,ROR での評価では典型的な被疑薬として認知されていない薬剤も高いシグナル数値を示した.Weibull 分布の形状パラメータ推定値による副作用発現時期の解析については,DIHS は他の重症薬疹に比べて明確な差が認められ,発現時期のピークも他の重症薬疹より遅い20日前後であった.今回我々が検討したように自発報告副作用についてさまざまな側面からデータを分析し,その情報を捉えることは医薬品の安全性対策に関わる者にとって有用な取組みと考えられる.