著者
寒水 孝司 杉本 知之 濱崎 俊光
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.35-52, 2013-08-31 (Released:2013-09-20)
参考文献数
61
被引用文献数
1

Clinical trials often employ two or more primary endpoints because a single endpoint may not provide a comprehensive picture of the intervention’s effects. In such clinical trials, a decision is generally made as to whether it is desirable to evaluate the joint effects on all endpoints (i.e., co.primary endpoints) or at least one of the endpoints. This decision defines the alternative hypothesis to be tested and provides a framework for approaching trial design. In this article, we discuss recent statistical issues in clinical trials with multiple primary endpoints. Especially, we introduce the methods for power and sample size determinations in clinical trials with co-primary endpoints, considering the correlations among the endpoints into the calculations. We also discuss the methods to alleviate conservativeness of testing co-primary endpoints.
著者
濱崎 俊光 後藤 昌司
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.147-163, 1999-03-10 (Released:2009-06-12)
参考文献数
34

事象数の変換または「再表現」は,データ解析者が最も頻繁に行っていることである.例えば,変換後に誤差分散の均一性を狙うのであれば,Poisson分布に従う変数の場合に平方根変換,2項分布に従う変数の場合には逆正弦変換あるいは角変換を使用することが多い.本稿では,一般的に用いられている既知の離散分布または事象数に対する変換の妥当性を, Box and Cox (1964)が提案したべキ変換の枠組みの中で評価し直した.とくに,Poisson分布に対する分散安定化のための正規化変換に注目し,変換として対数変換と平方根変換をとりあげ,それらの性能を検討した.その結果,変数がPoisson分布に従うときに分散を安定化させるための変換として,Bartlett (1949)の分散安定化公式による平方根変換が, Box and Cox (1964)のべキ変換からも支持された.そして,Poisson分布に従う変数に対数変換を施したとしても変換後の変数の分散は一定でなく,分散の安定性と分布の正規性の両方の意味で,Poisson分布に従う変換には平方根変換が対数変換に比べて適していることが示唆された.
著者
渡部 健二 和佐 勝史 濱崎 俊光 河盛 段 樂木 宏実 奥村 明之進
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.77-83, 2013-04-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
4
被引用文献数
1

背景 : 大阪大学は平成23年度より卒業試験を廃止し,臨床能力を総括的に評価する新しい試験を導入した.方法 : 新しい試験では,診療における問題解決の過程を再現するシーケンシャルシナリオを作成した.評価者はシナリオに沿って病棟回診と同じような口頭試問を受験生に対して行ない,態度,知識,思考に基づいて臨床能力を評価した.試験終了後にアンケートを行なった.結果 : 試験は円滑に実施された.試験後のアンケートにおいて評価者の約9割,受験生の約6割は本試験の意義を肯定的に回答した.考察 : 今回の試みは主に評価者に好意的に受け入れられた.今後の課題は,パフォーマンスに基づく試験の導入である.
著者
濱崎 俊光 磯村 達也 大瀧 慈 後藤 昌司
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.179-190, 1999-03-31 (Released:2009-06-12)
参考文献数
33
被引用文献数
2 1

本稿では,Box & Cox(1964)が提案したベキ変換について,これまでに提案されている諸種のベキ変換の変型を概観した.また,正確に恒等変換(無変換)を含むように変換公式を修正したベキ変換の性質を,無構造データと有構造データの場合にわけて尤度関数とパラメータの推定値について修正を施さない通常の変換と比較し検討した.ベキ変換パラメータに依存したシフトは,無構造データの場合に平均のみに影響を及ぼし,有構造データの場合では変換後に想定されるモデルに定数項を含めることでモデルに固有のパラメータへの影響を回避できた.
著者
渡部 健二 和佐 勝史 濱崎 俊光 樂木 宏実 土岐 祐一郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.63-68, 2014-04-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
5

背景 : 大阪大学で新しく導入した臨床実習総括試験の特性を明らかにするため,当試験の成績を他の試験と比較検討した.方法 : 比較対象は,基礎医学,臨床医学,共用試験CBT,共用試験OSCE,クリニカル・クラークシップとした.結果 : 当試験との相関を示すPearson相関係数は全般的に低値を示した(基礎医学 0.32,臨床医学 0.36,共用試験CBT 0.44,共用試験OSCE 0.39,クリニカル・クラークシップ 0.24).主成分分析の結果,当試験,共用試験OSCE,クリニカル・クラークシップは1つの組を形成し,基礎医学,臨床医学,共用試験CBTは別の組を形成した.結語 : 当試験は既存の試験とは異なる観点の試験であり,技能,態度,コミュニケーション,臨床推論などが包括的に求められる臨床的課題解決能力の指標となる可能性が示唆された.