著者
高木 興一 瀧浪 弘章 青野 正二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究では,TTS(騒音性一過性域値変化)の予測手法の原理を取り入れて,実際の騒音により生じるTTSを計算するシステム(TTSメータ)を考案することを目的としてた。そこで,今年度は,昨年度行ったTTSの予測精度に関する検討結果を基に,TTSを実時間で予測するシステムを開発した。このシステムは,1/3オクターブバンド分析機能を備える騒音計と,汎用のパーソナルコンピュータで構成した。騒音計からは,1/3オクターブバンドレベルのサンプリング値(最小データ取得間隔200ms)をパーソナルコンピュータにシリアルデータ転送(RS-232C,最大ボーレート38400bps)する。パーソナルコンピュータのWindows上で動作するアプリケーションが,転送された1/3オクターブバンドレベルを基にTTSのテスト周波数に対応する臨界帯域スペクトルレベルを合成して求め,時々刻々変化するTTSの予測値を表示する。ここで,実時間での動作を可能とするために既存の予測手法の計算手順を検討する中で,TTSのテスト周波数に対応する臨界帯域スペクトルレベルとTTSの予測値の関係が,予測式から導出されるインパルス応答との畳み込み和の形で表せることを示した。また,高木らの予測式を用いた場合,定常音の暴露と同様の方法で適用条件を処理すると予測するTTSに時間遅れが生ずるので,それを解消するための処理方法について検討した。さらに,TTSメータを使って,いくつかの環境音によりどの程度のTTSが生じるかを測定し,TTSの観点からそれらの音を評価した。