著者
高木 興一 松井 利仁 青野 正二 酒井 雅子
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.957-964, 1995-12-01
被引用文献数
12

本研究では、パチンコ、音楽鑑賞などの娯楽に伴い暴露されるような音の危険性をTTS(騒音性一過性域値変化)の観点から、暴露実験により評価することを試みた。暴露実験の結果、パチンコ店、ディスコ、ライブハウスの音を2時間暴露すると20dB程度のTTSが生じ、その聴力への危険性が大きいことが示された。一方、ヘッドホンステレオでの聴取を想定した、洋楽、邦楽のCDの音の暴露では、3〜5dBのTTSが生じるのにとどまった。また、既存の2種類の予測式によりTTSを計算したところ、どちらの予測値も実測値に比較的よく追随し、レベル変動の大きな変動騒音によるTTSの予測に対し、両予測式を適用できることが分かった。
著者
森長 誠 青野 正二 桑野 園子
出版者
The Institutew of Noise Control Engineering of Japan
雑誌
騒音制御 (ISSN:03868761)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.292-302, 2005-08-01 (Released:2009-10-06)
参考文献数
20

公園の音環境デザインについて「地理情報」「音環境」「利用者の印象」の関連を喧騒感という視点から検討した。調査Aでは, 利用者の利用目的が静的か動的かによって音環境評価が大きく異なることを明らかにし, 公園を取り巻く幹線道路に接する静的な利用目的に供用された施設では, 喧騒感の高まりとともに環境全体の評価の低下が確認された。また調査Bでは噴水施設近辺での, 噴水音の認知と利用者の印象の空間的広がりについて検討を行い, 噴水音による喧騒感の緩和効果がみられた。なお, そのためには噴水音を認知できるか否かが重要なファクターであること及び, 噴水音の認知については空間的に明瞭な区分がなされる可能性が示唆された。
著者
宮川 雅充 中司 智之 青野 正二
出版者
The Institutew of Noise Control Engineering of Japan
雑誌
騒音制御 (ISSN:03868761)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.53-59, 2002-02-01 (Released:2009-10-06)
参考文献数
24

本研究では, 視覚情報と聴覚情報が音環境の印象に及ぼす影響について検討した。刺激として5グループ30種類の音環境 (音と映像) を用意した。最初に音のみを, 次に映像のみを, 最後に音と映像を同時に被験者20名に呈示し, それらの印象をSD尺度上で評価してもらった。因子分析の結果, 水に関するグループでは, 聴覚情報よりも視覚情報が音環境の印象に強い影響を与えることが分かった。また, その他のグループでは, 視覚情報と聴覚情報が音環境の印象を緩衝させるように働いているものが見られた。
著者
藪木 智子 宮内 大輝 宮川 雅充 青野 正二 高木 興一
出版者
The Institute of Noise Control Engineering of Japan
雑誌
騒音制御 (ISSN:03868761)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.101-109, 2001-04-01 (Released:2009-10-06)
参考文献数
25
被引用文献数
2

本研究では, 環境音に対する印象が年代によりどのように異なっているかを検討した。まずアンケート調査により, 6つの年代 (10代~60代) に音の好みを尋ねた。その結果, 6つの年代を2つに分ける場合, 青年 (40歳未満) と壮年 (40歳以上) で分けた時に, 好みに違いが表れる音が最も多くなった。次に, 各年代の人を対象に音と映像を用いて印象評価実験を行った。被験者には音のみを呈示した場合と映像を付加して呈示した場合について, 音の印象をSD法により評価してもらった。因子分析の結果, 視覚情報が与える印象の変化は青年の方が壮年より大きいことが示された。
著者
高木 興一 瀧浪 弘章 青野 正二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究では,TTS(騒音性一過性域値変化)の予測手法の原理を取り入れて,実際の騒音により生じるTTSを計算するシステム(TTSメータ)を考案することを目的としてた。そこで,今年度は,昨年度行ったTTSの予測精度に関する検討結果を基に,TTSを実時間で予測するシステムを開発した。このシステムは,1/3オクターブバンド分析機能を備える騒音計と,汎用のパーソナルコンピュータで構成した。騒音計からは,1/3オクターブバンドレベルのサンプリング値(最小データ取得間隔200ms)をパーソナルコンピュータにシリアルデータ転送(RS-232C,最大ボーレート38400bps)する。パーソナルコンピュータのWindows上で動作するアプリケーションが,転送された1/3オクターブバンドレベルを基にTTSのテスト周波数に対応する臨界帯域スペクトルレベルを合成して求め,時々刻々変化するTTSの予測値を表示する。ここで,実時間での動作を可能とするために既存の予測手法の計算手順を検討する中で,TTSのテスト周波数に対応する臨界帯域スペクトルレベルとTTSの予測値の関係が,予測式から導出されるインパルス応答との畳み込み和の形で表せることを示した。また,高木らの予測式を用いた場合,定常音の暴露と同様の方法で適用条件を処理すると予測するTTSに時間遅れが生ずるので,それを解消するための処理方法について検討した。さらに,TTSメータを使って,いくつかの環境音によりどの程度のTTSが生じるかを測定し,TTSの観点からそれらの音を評価した。