著者
内田 愛 郷右近 歩 菊池 紀彦 平野 幹雄 野口 和人 熊井 正之
出版者
東北大学大学院教育情報学研究部
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
no.6, pp.35-43, 2007-07

記憶の外的補助具を利用することは、記憶障害を抱える人々にとって有効であることが指摘されてきた。本研究では、補助具の一つであるメモリーノートに着目し、記憶障害を有する一事例を対象として、メモリーノートが利用される場面や記入される内容など実生活場面での利用実態について分析を行った。その結果、自宅や作業所では自発的にメモリーノートを利用するものの、それ以外の場面では自発的な利用はほとんど見られないことが明らかになった。しかしながら、本人にとって印象的な出来事が生じた場面や必然性のある場面、メモリーノートの利用を想起させる手がかりがある場面では主体的にメモリーノートが利用されることも明らかになった。このことから、記憶障害者が主体的に補助具を利用するためには、継続的な利用の促進と同時に、本人にとって意味のある動機や必然性をもつことが必要であり、補助具は記憶障害者にとって単に不足する情報を補うために用いられるものではないことが示唆された。
著者
熊井 正之 森 つくり 内田 愛
出版者
東北大学
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.81-90, 2007-03

言語発達の遅れや障害によってインタビューや質問紙の適用が困難な障害幼児の課題場面における動機づけを分析する方法を検討することが本研究の目的である。対象は最重度聴覚障害の4歳男児であった。始発と目標の視点を組み合わせた分析の枠組みを用いて、児の動機づけに関する行動観察データの分析を試みた。その結果、分析者内においても、分析者間においても十分な信頼性が確認された。