著者
高橋 日出雄 穴沢 貞夫 東郷 実元 石田 秀世 片山 隆市 桜井 健司 石原 歳久
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.2741-2745, 1987-12-01
被引用文献数
13

消化管原発悪性リンパ腫24例を臨床病理学的に検討し,予後因子についても分析した.平均年齢は43.8歳で,男性に3倍多かった.回盲部が全体の60%を占めた.腸重積17%穿孔11%で急性腹症で来院する症例が多く目立った.Naqviの進行度分類では,I度1例,II度8例,III度10例,IV度5例と進行した症例が多かった.累積生存率による予後は術後5年生存率がわずか7%であった.非治癒切除例は2年以内にすべて死亡しているのに対し,治癒切除例の5生率は32%であった.予後の向上には早期症例の発見に努め,根治的広範囲切除が重要と考えられた.消化管の発生部位,進行度分類,治癒・非治癒切除などの因子が重要であった.