- 著者
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松田 彰
綿矢 有佑
宮坂 貞
牧 敬文
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 重点領域研究
- 巻号頁・発行日
- 1993
本研究班では、核酸の構造や代謝の分子論的な解析を基にした機能性ヌクレオシド誘導体の創生を計ることを目指している.松田は、新しいアミノリンカーを持つDNAオリゴマーの設計と合成を行なった.これらは標的とするRNAと安定な二本鎖を形成し,さらに、リンカーにインターカレーターなどの機能性分子を導入することが可能である.これらのオリゴマーは天然型のリン酸ジエステル結合を持つにもかかわらずヌクレアーゼに抵抗性を示すこと,および,RNase Hの基質になることを明らかにした.DNA鎖切断型の自殺基質として分子設計したCNDACがモデルテンプレート・プライマー系でDNApolymeraseを作用させたとき予想通りの鎖切断を引き起こすことを確認した.牧は、光励起下で活性酸素の模倣物として機能する特異な複素環N-オキシド(POP)を用いてヌクレオシド類の光酸化反応を詳細に検討した.さらに、POPが水中で水酸ラジカルを発生しDNA鎖を効率的に切断することを明かにした.宮坂は、HIV-1の逆転写酵素(RT)に特異的に結合する化合物(BEMI)を用いてこの化合物に対する耐性株の遺伝子分析を行なった.本化合物によるRT耐性は103番目のリシンがグルタミン酸に,181番目のチロシンがシステインに変化していることによることを明らかにした.綿矢は、ヒトに感染しマラリアを引き起こす4種類のマラリア原虫を識別できるDNA診断法を開発した.さらに,5-fluoroorotateとスルファモノメトキシンを併用することによりクロロキン耐性マラリア(ネズミマラリア感染マウス)を治癒出きることを明らかにした.