- 著者
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安永 満
松田 彰史
村田 誠
荻野 昌昭
門 祐二
新開 泰司
名和田 浩
半田 哲郎
野田 健一
福本 陽平
沖田 極
竹本 忠良
- 出版者
- 一般社団法人 日本肝臓学会
- 雑誌
- 肝臓 (ISSN:04514203)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.4, pp.493-499, 1985-04-25 (Released:2010-01-19)
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
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アセトアミノフェンの大量服用により,急性肝障害の発症をみることは,よく知られた事実である.最近,教室では,少量のアセトアミノフェンの服用にもかかわらず,重症肝障害を生じた2例を経験したので報告した.患者は38歳の男性と31歳の女性である.アセトアミノフェン服用量は,それぞれ,3.7gと6.4gで,いずれも嘔吐,腹痛,全身倦怠感を訴えて入院した.本剤服用時,前者はアルコールを摂取し,後者は絶食状態であった.検査上,前者は著明な血清トランスアミナーゼの上昇,軽度の黄疸を認め,心内膜炎,腎障害,急性膵炎を併発し,肝組織では小葉内に巣状壊死が散在し,中心静脈周囲にも壊死が認められた.後者でも重篤な肝障害と血小板減少がみられ,肝組織像はbridging necrosisを示していた.アルコール摂取と絶食のために,少量のアセトアミノフェン服用にもかかわらず,予想以上に肝障害が重症化したと考えられ,本剤の使用にあたり,注意が必要である.