- 著者
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向野 利彦
猪俣 孟
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 臨床眼科 (ISSN:03705579)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.8, pp.1454-1455, 1993-08-15
網膜格子変性lattice degeneration of the ret—inaは,検眼鏡的に赤道部から鋸状縁の間にみられ,境界が比較的明瞭な網膜の変性巣である。この病名は,変性巣を横切る血管が白線化して格子細工模様を呈することによる。裂孔原性網膜剥離の約30%は網膜格子状変性が原因で起こるので,慎重な経過観察が必要な病変である。正常眼の約10%にみられ,家族内発生も知られている。 網膜格子状変性は網膜硝子体変性症のひとつである。変性巣は鋸状縁に平行に走り,その幅は0.5〜1.5乳頭径で,長さは短いもので約2乳頭径,長いものではときに1象限をこえる。変性巣の辺縁は多少隆起し,内部では網膜は菲薄化し陥凹している。変性巣上の硝子体は液化し,空洞(硝子体ポケット)を形成している。膜様の硝子体が変性巣の辺縁に付着し,後部硝子体剥離に伴い変性巣の後極縁に沿って裂孔を生じやすい。変性巣内は不透明灰白色で,種々の程度の色素遊出がみられることもある(図1)。典型的な例では白線化した血管がみられる。血管の硬化がなく色素の少ないものは早期のものと考えられる。進行すると変性巣内にしばしば円孔が発生する(図2)。