著者
櫟 直美 尾形 由起子 小野 順子 中村 美穂子 大場 美緒 吉田 麻美 猪狩 崇 平塚 淳子 田中 美樹 吉川 未桜 山下 清香
出版者
福岡県立大学看護学部
雑誌
福岡県立大学看護学研究紀要 (ISSN:13488104)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.13-23, 2022-03-31

「目的」本研究の目的はA県の3年間にわたる訪問看護ステーション連携強化の取組について意義と課題の整理を行い、今後の訪問看護ステーション連携について検討することを目的とした。「方法」A県の同意の得られたすべての訪問看護ステーション419か所に所属する訪問看護師3,750名を対象として無記名自記式質問紙調査を実施し、統計学的解析を行った。「結果」936名から回答を得た(有効回答率:25.0%)。交流会に参加して他のステーションと連携がしやすくなったのは37.1%だった。今後の必要性について、交流会を必要とする肯定群は936人中641人(68.5%)で、同行訪問研修を必要とする肯定群は936人中562人(60.0%)だった。しかし同行訪問研修の実際の参加率は16.8%にとどまり、参加の困難さがあった。医療介護福祉の連携意識は、年代と職位に有意な差があった。また交流会および同行訪問研修の必要性と連携意識に有意な差があった。在宅医との連携では、最も必要であると感じているが、連携の取りやすさでは困難さを感じていた。「考察」本研究結果では訪問看護ステーション間での連携の深まりを明らかにすることはできなかった。しかし交流会や同行訪問研修の必要性を感じている割合が高かったことから継続する意義はあると考えた。その意義として具体的には、連携上の課題が共有でき、医療的ケアの知識や技術が学べることや運営方法を知る機会となることである。また在宅医療推進のために在宅医との調整の積み重ねの必要性があり、コミュニケーションスキルを磨き、連携力を獲得していくための場への積極的参加の啓発と参加しやすい仕組みづくりが必要である。
著者
山口 のり子 福岡 洋子 中村 美穂子 猪狩 崇 尾形 由起子
出版者
福岡県立大学看護学部
雑誌
福岡県立大学看護学研究紀要 (ISSN:13488104)
巻号頁・発行日
no.18, pp.21-26, 2021-03-31

在宅医療推進のための官民学協働を基盤とした多職種連携・協働で取り組んだ、『ケア・カフェ』の効果を明確にした。 研究協力者は、ケア・カフェの企画及び実践を行っている地域の保健・福祉・医療関係者の多職種(薬剤師、理学療法士、管理栄養士、主任介護支援専門員、看護師、保健師)とした。方法は、半構造化面接(FGI)を行い、質的に分析した。 結果は、官民学の多職種連携・協働による「ケア・カフェ」の効果として、[ケア・カフェによる多職種連携の士気の高まり][官民学の役割認識の高まり][多職種の主体性の高まり][住民に寄り添う各種専門職の専門性の向上][多職種が「死生観」を培う][地域への発信力向上の必要性の認知]の7つのカテゴリーが抽出された。 多職種連携を推進するためには、地域の中でカフェのようなリラックスした雰囲気で多くの職種との対話ができる場の確保や、多職種と行政・大学等が協働し活動基盤を築くこと、多職種で「死生観」について考える機会を持つこと、住民参加を進めること、多職種連携の現状を地域へ発信する力を高めることに効果があることが示唆された。