著者
暦本 純一 垂水 浩幸 菅井 勝 山崎 剛 猪狩 錦光 森 岳志 杉山 高弘 内山 厚子 秋口 忠三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.602-611, 1990-05-15
被引用文献数
7

ウィンドウシステムの普及にともない各種のメディア(画面上で編集操作が可能荘視覚的対象物)を活用した視覚的ユーザインタフェースをもつシステムヘの要求が高まっているが,その作成,特にユーザインタフェース部の構築は容易ではない.われわれが現在開発中のシステム,鼎(かなえ)は,6種のメディア(テキスト,イメージ,図形,グラフ構造,表,階店構造)を扱うアプリケーションのユーザインタフェース部を容易に構築するための基盤となることを目指している.鼎システムは,6種のメディアを編集するための基本機能をエディタ部品としてもち,エディタの機能を目的に応じて変更・拡張するためのカスタマイズ言語を提供している.MVCモデルに基づくオブジェクト指向的なエディタ実装方式を採用し,各メディアの混在が容易に行えるようになっている.エディタのユーザインタフェースを変更するときは,スタック構造をもつイベントマップ(マウス入力に対応)やキーマップ(キー入力に対応)にアプリケーションが定義したマップをプッシュして,根準の編集操作を上書きすることができる.編集対象物とアプリケーションのデータを関連づけるための機構も提供している.以上の方式に基づいて鼎システムを実装した.鼎を利用して作成した実際のCASEアプリケーション3例を調査した結果,システムの開発規模が,鼎の利用によって半分以下に削減されることが分かった.