著者
垂水 浩幸 森下 健 上林 弥彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.88, pp.31-36, 1999-10-21
被引用文献数
9

SpaceTagは特定の場所、時間でしかアクセスできないように仕組まれた仮想オブジェクトである。SpaceTagはサーバで管理され、通信手段によって配付される。ユーザは位置センサーと通信手段を備えた携帯端末を持ち、市中を歩き、その場所でしか見えないSpaceTagを見つける。SpaceTagはアクセス制限が強い不便なメディアであるが、ゲーム、観光案内、広告などに利用できる。さらに、ユーザは端末上で作成したSpaceTagをその場に置くこともできる。これは他のユーザに見えるので周囲の不特定多数の人とのコミュニケーションが取れる。本論文では、SpaceTagの広範なアプリケーションについて紹介した後、それらが社会的にどのような影響を及ぼすかについて議論する。SpaceTag is an object that can be accessed only from limited locations and time period. SpaceTags are served and distributed from a central server which should be managed by a service provider. Users of the SpaceTag system can access SpaceTags with portable terminals equipped with location sensors and wireless communication device such as mobile phones. Users walk around in a city and find SpaceTags that can be found only at the location. SpaceTag is thus an inconvenient media, but suitable for gaming, advertising, city guide information, etc. A user can also put a SpaceTag at the location where (s) he is, which can be found by other people nearby. This feature also enables local public communication applications. In this paper, we will argue why this inconvenient but simple virtual platform can support various applications, and also discuss social impacts of these applications.
著者
山石 忠弘 林 敏浩 垂水 浩幸
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2010-CE-107, no.12, pp.1-5, 2010-11-13

プログラミング教育において,座学でプログラムの知識を身に付けた学習者が,ソースプログラムを正しく読み取れないことがある.原因として,プログラムが動く仕組み理解できていないので,プログラム処理がわからないと考える.本研究では,プログラム処理がわからない学習者に対して,踊りによるプログラム処理の可視化を行うことで,プログラム処理の理解支援を行う.
著者
喜田弘司 坂本 久 島津 秀雄 垂水 浩幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.200-212, 2007-01-15
被引用文献数
5 2

近年,個人情報がP2P ファイル共有システムによって流出したというニュースが連日報道されており社会問題になっている.この対策としてP2P ファイル共有システムの使用を禁止するシステムが多く提案されている.しかしながら,ユビキタス時代の社会システムを考えると,ファイル共有ソフトウェアは利用禁止にはできない.そこで我々はファイル共有システムをセキュアに利用する環境を提供する「ファイルアクセス制御エージェント」を開発した.このエージェントはPC に常駐し,すべてのファイルアクセスを監視して,未知のプログラムからのファイルアクセスに対してはアクセスを禁止する.たとえば,あるワープロで作成したファイルは,そのワープロやファイル管理ツールなどからしかアクセスできない環境を提供する.アクセスしているファイルから見て未知のプログラムであるか既知のプログラムであるかは,今回開発した「ファイル利用コンテキストベースアクセス許可判定技術」を使って自動判定する.この技術は,ユーザのGUI 操作やプロセスの親子関係,必要があればユーザとの対話でアクセス権を判断する.これによりユーザが知らないタイミングで知らないプログラムから情報漏えいすることを防止することができる.実験により,本エージェント動作環境下で,これまでと同様にP2P ファイル共有システムとアプリケーションの両方を利用することができた.さらに,ウィルスによる情報漏えいも防止できることを確認した.In recent years information leakage problems via P2P (peer-to-peer) file sharing systems, such as Winny, emerge as a social issue. Countermeasure systems that prohibit the use of P2P file sharing systems have been launched. However, we consider the solutions are NOT feasible according to analysis of the use of P2P file sharing systems. In this paper we propose a file access control software agent that provides users to use P2P file sharing software in safety. The agent is installed on each PC including those for private use. It monitors all file accesses and blocks them from unauthorized applications. For example, ONLY Microsoft Word and Explorer are allowed to access *.doc files. Users have been sharing files such as MP3 files, AVI files and so on using a P2P file sharing system. On the other hand, users have confidential files that should not be shared on P2P file sharing system. We can avoid such inappropriate sharing by blocking accesses to confidential files. The agent monitors GUI operations and analyzes process behaviors to detect such critical accesses. We have experimented and confirmed that the agent can detect illegal accesses to confidential files without inhibiting P2P file sharing systems for their private use.
著者
垂水 浩幸 鶴身悠子 横尾 佳余 西本 昇司 松原 和也 林 勇輔 原田 泰 楠 房子 水久保 勇記 吉田 誠 金 尚泰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 = IPSJ journal (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.110-124, 2007-01-15

市販のGPS 付携帯電話を端末とした位置依存の共有仮想空間(擬人化エージェント機能や利用者間コミュニケーション機能を含む)を応用して観光支援システムを開発し,これについて公開実験を行った.ここで公開実験とは,観光者に現地で依頼して被験者となってもらい,かつ観光者自身の所有する携帯電話を使用して,我々の提供するサービスを評価してもらう実験であり,観光の観点から客観性の高い現実的な評価を得ることが目的である.実験は香川県の代表的観光地である金刀比羅宮と栗林公園でそれぞれ1 週間ずつ実施した.その結果,年齢,性,観光地への訪問経験などにより反応が異なる場合があることが確認でき,ターゲットユーザの絞り込みが重要であることが分かった.また仮想空間で提供する情報は,ガイドブックや立て看板などの現実のメディアとの役割分担が重要であることも明確になった.またGPS の誤差については問題が残るが,位置誤差の評価と観光支援サービスの評価は独立であることも確認した.本論文ではこの公開実験の方法と結果について詳細に述べる.We have developed a sightseeing support system, using our shared virtual world service including human-like agents and inter-user communication for popular GPS-phones on the market. We have conducted open experiments for the service. By open experiments, we mean those with real tourists as subjects and letting them use their own phones. By open experiment, we have aimed to acquire realistic and objective evaluation from the viewpoint of sightseeing itself. The experiments were conducted at two major sightseeing destinations in Kagawa prefecture, each taking one week. As results, we have found that visitors responded differently by their age, gender, experiences, etc. We have also found that virtual media should give different information from real media. These findings will help the future design of such services. GPS inaccuracies were found but subjects evaluated them independently from other evaluation. In this paper, the method and results of the experiments are described.
著者
衣畑 俊希 三浦 龍 大原 紳司 田頭 佳和 豊嶋 真司 垂水 浩幸 林 敏浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.1-6, 2014-06-28

コンピュータの性能の向上とともにコンピュータ将棋は急速に強くなり,対人間戦で善戦するようになった.また,現在ネットワーク上で主に対局を目的とする将棋サービスは盛況となっているが,対局後の感想戦や対局を記録したデータベース,将棋の人工知能等,他のソフトウェアとのインタフェースを持ち,統合して利用できるようにしたものがなかった.そこで我々は統合的な将棋支援をネットワーク上で行うためのシステム SAKURA を開発している.SAKURA の特徴は,大きく分けて 3 つの機能を有し,それらが連携して将棋支援を行っている点である.機能は,コメント付与機能・棋譜のツリー表示機能を持った感想戦支援インタフェース,局面データベースと棋譜データベースを相互連携したデータベース,対局者からの要求によって候補手をアドバイスする人工知能である.本論文では将棋部員によるこれらの機能の評価について述べ,SAKURA の機能の妥当性について示す.Shogi is a very popular board game in Japan, which is the most complex variant of chess-like games. Many strong AI programs to play shogi have been developed. For players, several services are provided to play shogi on the Internet. However, they do not provide any integrated environment, where post-game online discussions are supported, interfaces with other software including AI programs are defined, and records of games and discussions are archived in well-organized databases. We are developing SAKURA: a network shogi environment to provide such an integrated environment on the Internet. This paper describes outline of the project and especially evaluation sessions to validate the system functions.
著者
山田 敬太郎 垂水 浩幸 大黒 孝文 楠 房子 稲垣 成哲 竹中 真希子 林 敏浩 矢野 雅彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.372-382, 2009-01-15
被引用文献数
4

歴史学習を対象としたフィールドワークをGPS携帯電話を用いて支援するシステムの開発と,これを用いた実践授業を行った.学習者は,三次元モデルを元に携帯電話の画面上に再現された過去の世界を訪れ,現在の様子との違いを認識することから学ぶ.昭和13年の阪神大水害の様子を三次元モデルで作成し,中学3年生に対して実践授業を行いその教育効果を検証した.その結果,生徒全員から本システムへの肯定的な反応があり,過去と現在を結び付けながら学んでいる様子が分かった.三次元モデルにより,自由な視点での過去の様子を知ることができる点への評価が高かった.また,携帯電話を用いることにより機器に親しみやすく,生徒の関心を高めることに効果的であることが分かった.これらのことから,本研究のアプローチが有効であることを実証できた.We have developed a system using mobile phones with attached GPS to learn history. This system enables students to do fieldwork with a visit to a virtual world from the corresponding location in the present world. The virtual world designed a 3D model of a past world of 1938, when a landslide occurred. The 14-15-years-old students visited the past world and learned much about it. We have found that the system helped students learn about their local area's history by enabling them to compare the past and the present and to observe the past world from arbitrary viewpoints. Because mobile phones are familiar and portable, students' motivation was enhanced.
著者
中畑 将吾 中野 裕介 佐川 裕一 垂水 浩幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.98-109, 2007-01-15
参考文献数
21
被引用文献数
2

近年の相次ぐ食品事故,偽装表示問題を受け,商品トレーサビリティの充実が強く求められている.しかし現在の商品情報データバンクは,登録型であるため特定の汎用データバンクに情報が寡占される状態が進行しており,登録されるデータ項目,データ形式が限られている.特に,少数の消費者にしか利用されない情報については軽視される傾向があり,これらの改善を図るためには従来手法に変わる情報発信,収集のアプローチが必要である.そこで本研究では,データ項目にしばられないRSSを用いた自由な情報発信と,それをデータバンクが目的に沿って自動的に収集,選別する商品情報流通モデルを提案する.これは,データバンクの運用者によって定義された新たな商品情報のデータ形式に従って生産者が情報発信するものであり,また詳細な情報を扱う専門分野に特化したデータバンクの活性化を図るものである.また提案モデルでは,従来できなかった「業界をまたぐ深い検索」が可能である.この点を評価するために,これを実現するアプリケーションを本モデルに基づいて構築した.さらに,被験者21名による評価実験を通して,実際に構築できたアプリケーションが有効であったこと,情報公開が進めばトレーサビリティの質へと変化すること,専門分野に特化したデータバンクは被験者独特のニーズにあった情報を取得することが示された.
著者
尾崎 浩和 富永 浩之 林 敏浩 垂水 浩幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.26, pp.1-8, 2008-03-07
被引用文献数
4

応用プログラミング課題として,ボードゲーム戦略を題材とする問題解決型のJava 演習を提案する.五五ゲームの着手メソッドの実装を通して,アイデアの算法による実現,実行結果に基づく試行錯誤的な修正を習得させる.予備戦期間を設け,公開対戦を通して,持続的な戦略修正に取り組ませ,演習過程の活性化を図る.最終大会の総当り対戦の勝敗順位で得点を決め,競争意欲を刺激する.上記の方法による授業実践に向けて,大会運営サーバ WinG-CS を改良した.We propose an applied Java programming exercise by board-game strategy for problem solving learning. During implementation of hand method of Gogo game, students learn realization of idea as algorithm and revision with trial and error by execution result. We found preliminary league by open playing, before final league, which decides students' score by the result of round-robin playing. It keeps students' motivation to revise repeatedly and raises activity of the exercise. We improved the contest server WinG-CS for league management and ranking view to perform the exercise in this year.
著者
暦本 純一 垂水 浩幸 菅井 勝 山崎 剛 猪狩 錦光 森 岳志 杉山 高弘 内山 厚子 秋口 忠三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.602-611, 1990-05-15
被引用文献数
7

ウィンドウシステムの普及にともない各種のメディア(画面上で編集操作が可能荘視覚的対象物)を活用した視覚的ユーザインタフェースをもつシステムヘの要求が高まっているが,その作成,特にユーザインタフェース部の構築は容易ではない.われわれが現在開発中のシステム,鼎(かなえ)は,6種のメディア(テキスト,イメージ,図形,グラフ構造,表,階店構造)を扱うアプリケーションのユーザインタフェース部を容易に構築するための基盤となることを目指している.鼎システムは,6種のメディアを編集するための基本機能をエディタ部品としてもち,エディタの機能を目的に応じて変更・拡張するためのカスタマイズ言語を提供している.MVCモデルに基づくオブジェクト指向的なエディタ実装方式を採用し,各メディアの混在が容易に行えるようになっている.エディタのユーザインタフェースを変更するときは,スタック構造をもつイベントマップ(マウス入力に対応)やキーマップ(キー入力に対応)にアプリケーションが定義したマップをプッシュして,根準の編集操作を上書きすることができる.編集対象物とアプリケーションのデータを関連づけるための機構も提供している.以上の方式に基づいて鼎システムを実装した.鼎を利用して作成した実際のCASEアプリケーション3例を調査した結果,システムの開発規模が,鼎の利用によって半分以下に削減されることが分かった.
著者
垂水 浩幸 林 敏浩 八重樫 理人
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

スポーツや音楽分野でのエンタテイナーの実演を遠隔の視聴者にインターネット中継で送れるようになったが、視聴者が現場に対して送ることのできる情報は現状では文字に限られている。本研究は主にスポーツの応援を遠隔から送り、選手に伝え、また選手から更に反応を返すことができるシステムを構築して実際のプロスポーツ公式戦で運用評価し、選手から高い評価を得ることができた。一方視聴者からの評価にはまだ課題が多く今後の課題である。
著者
垂水 浩幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学
巻号頁・発行日
vol.97, no.503, pp.1-8, 1998-01-23
参考文献数
41
被引用文献数
5

1997年に開催されたCSCW関連の二大会議ECSCW'97とGroup'97に参加した。これらの会議で発表された研究成果を中心に、グループウェアの最近の動向、特にワークフロー、共有ワークスペースの動向について述べる。ワークフローにおいてはワークフローのダイナミックな変更、同期型グループウェアとの統合、複数組織を跨ぐフロー、実用事例研究などが盛んである。共有ワークスペースでは、Webベースの実用的なシステムが出てきている。
著者
松木保浩 稲垣 嘉信 坂本 久 喜田弘司 垂水 浩幸
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.108(2006-CE-086), pp.59-66, 2006-10-21

近年,学生がレポート作成時にwebで手軽に調査できるようになって来たが,ただ写しているだけという弊害も指摘されている.そのような中,まじめにレポートを作成した学生には努力を正当に評価されたいという要求がある.本稿では,レポート作成中のコピー操作やキーボード操作など,学生のレポート作成過程を記録し,教師にレポート作成時間や文字の入力頻度などの様々な解析結果を閲覧させることにより,まじめな学生が正当な評価を受けられるよう支援するシステムについて,基本設計と予備調査実験について述べる.
著者
櫻 裕司 香川 考司 垂水 浩幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.97, pp.23-27, 2002-10-24
参考文献数
3

分散環境での開発では、複数のユーザによるファイルの更新が衝突してしまう可能性がある。現在の共同開発を支援するシステムではこれを防ぐためにファイルのロック、マージといった方法を用いている。しかし、これらの方法では共同開発の作業中に問題が発生する。そこでファイルの一部分のみをロックすることによりこの問題解決するシステムを作成した。本システムではXHTML ファイルの各要素をロックの粒度とし、ユーザ間の排他制御を行っている。またJava Servlet Java Plug-inを用いることによりHTTP 及びそのトンネリングのみの通信で制御されている。In a distributed environment, there is a possibility of conflicts when a file is updated by multiple users. Current systems supp orting distributed development employs metho ds such as "locking" or "merging" in order to prevent or to dissolve conflicts. However, these traditional methods are problematic. In this paper, we propose a system where a lock is applied to a part of a file in order to avoid this problem. More specifically, an entity in XHTML documents can be a unit of mutual exclusion. Since the system is constituted of Java Servlets and Java Plug-in's, it uses only HTTP(including HTTP tunneling) for communication between components.
著者
富永 浩之 倉田 英和 林 敏浩 安藤 一秋 垂水 浩幸
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.42(2008-CE-094), pp.49-56, 2008-05-10

大学情報系学科の入門的 C 授業において,初心者向けの小コンテスト形式でのプログラミング演習を提案する.また,大会運営を支援するサーバ tProgrEss を開発する.本提案のコンテストでは,授業中に複数の問題を提示し,学生がローカル PC で作成したソースコードをサーバ側にアップロードさせる.サーバは,入出力サンプルによる実行テストで,プログラムの正誤判定を行う.出題においては,学習項目となる書法を整理して,中間目標となる複数の予備テストを導入し,解法のヒントや実装手順を示す.これにより,テストの重要性を認識させ,仕様に沿ったプログラムの完成までを段階的に誘導し,取組みへの手掛かりとさせる.時間と誤答による得点ルールを採用し,結果をランキングとして公開する.これにより,競争意識を促進し,演習を活性化させる.問題作成のガイドラインを示し,授業実践として,実際にコンテスト形式の演習を行った.アンケート評価や学習状況の履歴を分析し,本研究の教育効果を検証した.
著者
垂水 浩幸
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.782-788, 2010-07-15

twitterなどのソーシャルメディアと実世界情報との連携の可能性と実例を紹介する.これらの例においては,ソーシャルメディアという巨大な分散情報処理機構に実世界のデータが取り込まれているため,巨視的に実世界インタフェースのあるシステムとみなすことができる.物理センサがソーシャルメディアに接続されている例と,人間であるユーザがセンサの役割を果たす例について述べ,今後の展望を示す.
著者
喜田 弘司 朝倉 敬喜 垂水 浩幸
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.207-208, 1995-03-15

仕事のスケジュールの管理は、変更が多く把握しにくい、複数の人と調整をする必要がある、何を優先的にすべきかわからないといった問題点がある。今、オフィスでは一人一台コンピュータが使え、さらにそれらがネットワークでつながっている環境が普及してきている。われわれは、従来の手帳やカレンダーを超えたスケジュール管理を、計算機ネットワーク環境で構築することで、ビジネスの効率を上げる可能性があると考える。計算機ネットワーク環境における、従来のスケジュール管理ツールの課題を以下にまとめる。(1)スケジュールデータの入力:ユーザは締め切り日や進捗状況といった仕事に関するデータを入力する必要があり、この負担はスケジュール管理ツールの普及を妨げている。すなわちスケジュール管理ツールは、スケジュール入力の負担を上回る利益を、ユーザに与える必要がある。(2)仕事の指示の方法:仕事の指示は口頭で行われることが多く、意図が正しく伝わっていないことが原因で、トラブルが起こりやすい。また、仕事の指示は指示を出す立場の都合で行われる傾向が強いために、仕事担当者は無理な仕事を依頼されることがある。適した人材に適した仕事を割りふるために、仕事担当者の決定や締め切り日の決定のための支援が必要である。(3)スケジュール調整方法:グループワーク管理ツールを用いたスケジュール調整は、会議の設定等を優先とするスケジュール調整を行うため、個人のスケジューリングはトップダヴン的に仕事を決定される傾向が強く、ユーザに好まれない。これらに対し、本研究で検討している基本アイデアを以下に示す。帳票電子メールによる、仕事の指示:仕事依頼者は図1に示した仕事依頼帳票を電子メールで仕事担当者に送ることで仕事を依頼する。こうすることにより口頭より確実に仕事の指示ができ、特に、仕事依頼者が仕事担当者に仕事の工数や優先度を指定することで、どれくらいの精度で行うべき仕事であるのかがわかる。スケジューラは仕事依頼帳票を受け取ると、自動的にスケジュールを登録する。(課題(1)(2)の解決)仕事の忙しさの管理:仕事の分量を管理するすることで、ユーザ毎の"仕事の忙しさ"を把握できる。例えば、『忙しいから、仕事Aは断わろう。』といった判断をシステムが自動的に行える可能性がある。(課題(1)(2)の解決)操作履歴を用いた個人適応:仕事の実行履歴を残し、実行履歴からユーザモデルを作成することで、適応的なシステムを目指す。例えば、上で述べた"仕事の忙しさ"は実行すべき仕事の工数を見積り、その総和と考えることができるが、各仕事の工数は個人の能力に依存しており、単純に仕事依頼帳票の工数欄で指定された工数をそのまま仕事の工数とするわけにはいかない。個人の能力を示したユーザモデルが必要である。(課題(1)(2)の解決)エージェント間通信による協調:個人の都合を主張するスケジューラとエージェントとし、これらの相互作用で、スケジューリングを行う。(課題(1)(3)の解決)
著者
喜田 弘司 朝倉 敬喜 垂水 浩幸
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.259-260, 1996-03-06
被引用文献数
1

近年、いかにオフィスワークを効率化するかに注目が集まってきている。オフィスワークの効率化には以下の二つの要因があると考えられる。(1)フーガに個々の作業を効率的に実行させる(2)マネージャが資源配分をうまく行う ワープロなどの利用による従来のOAシステムは(1)を目指したものであり、一方、本システムでは(2)を支援することを目的とする。具体的には、仕事をどう選び、どのように組み合わせ、どう配置するかをうまく管理することを目指す。これらを実現するために、各ユーザの個人スケジュールをエージェント以下SchAg)に管理させ、SchAg間で通信を行うことにより他のユーザとスケジュールの調整を行う方式を提案する。
著者
衣畑 俊希 三浦 龍 大原 紳司 垂水 浩幸 林 敏浩 市野 順子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.15, pp.1-8, 2015-03-05

PC やスマートフォンを用いて,ネットワーク上で将棋の対局が活発に行われている.また,将棋プログラムが急速に強くなり,将棋プログラムとプロ棋士が対局を行う電王戦も複数回開催されている.しかし,対局後の感想戦の支援が不十分であり,また将棋プログラム (人工知能) を感想戦に活かしきれていない.そこで我々はコンピュータによる感想戦や将棋研究の発展を狙い,ネットワーク将棋における感想戦を支援するシステムの開発を行っている.本研究では感想戦支援システムにおけるクライアントの感想戦支援インタフェースについて改善を行い,昨年度に引続き評価実験を実施した.大学将棋部員による本システムの評価により,本システムの有効性を確認し,今後の課題を抽出した.Shogi, a chess-variant game popular in Japan, is recently played on the Internet. Players enjoy the game on some major game service sites. The technology of AI players have rapidly improved; they are now almost as strong as the top-level professional players. However, groupware and AI technologies are not used for post-game discussions on Shogi games - Kansousen -. We have been developing an integrated environment, SAKURA, for networked shogi games and discussions. In this paper, we describe the design and evaluation of discussion support functions and user interfaces. After the evaluation by seven amateur players, we confirmed the basic design for the discussion support is acceptable, but still we need improvements.
著者
垂水 浩幸 鶴身悠子 横尾 佳余 西本 昇司 松原 和也 林 勇輔 原田 泰 楠 房子 水久保 勇記 吉田 誠 金 尚泰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.110-124, 2007-01-15
参考文献数
10
被引用文献数
8

市販のGPS 付携帯電話を端末とした位置依存の共有仮想空間(擬人化エージェント機能や利用者間コミュニケーション機能を含む)を応用して観光支援システムを開発し,これについて公開実験を行った.ここで公開実験とは,観光者に現地で依頼して被験者となってもらい,かつ観光者自身の所有する携帯電話を使用して,我々の提供するサービスを評価してもらう実験であり,観光の観点から客観性の高い現実的な評価を得ることが目的である.実験は香川県の代表的観光地である金刀比羅宮と栗林公園でそれぞれ1 週間ずつ実施した.その結果,年齢,性,観光地への訪問経験などにより反応が異なる場合があることが確認でき,ターゲットユーザの絞り込みが重要であることが分かった.また仮想空間で提供する情報は,ガイドブックや立て看板などの現実のメディアとの役割分担が重要であることも明確になった.またGPS の誤差については問題が残るが,位置誤差の評価と観光支援サービスの評価は独立であることも確認した.本論文ではこの公開実験の方法と結果について詳細に述べる.We have developed a sightseeing support system, using our shared virtual world service including human-like agents and inter-user communication for popular GPS-phones on the market. We have conducted open experiments for the service. By open experiments, we mean those with real tourists as subjects and letting them use their own phones. By open experiment, we have aimed to acquire realistic and objective evaluation from the viewpoint of sightseeing itself. The experiments were conducted at two major sightseeing destinations in Kagawa prefecture, each taking one week. As results, we have found that visitors responded differently by their age, gender, experiences, etc. We have also found that virtual media should give different information from real media. These findings will help the future design of such services. GPS inaccuracies were found but subjects evaluated them independently from other evaluation. In this paper, the method and results of the experiments are described.