著者
玉木 博章
出版者
日本福祉大学子ども発達学部
雑誌
日本福祉大学子ども発達学論集 = THE JOURNAL OF CHILD DEVELOPMENT (ISSN:24352802)
巻号頁・発行日
no.14, pp.51-74, 2022-01-31

本研究ではこれまで9 人の若手女性保育者にインタビュー調査を行い,様々な状況にある彼女達の語りから今後の保育者養成のヒントを得ようとしてきた.本稿では,本研究を研究史の中で高く評価した市原(2021)の知見を参照しつつも,市原との見解の違いを明らかにするため,他の同種の調査でも希な追跡調査を試みた.それらからは,保育者のキャリア形成における媒介的コミュニティの重要性を凌ぐ効果を持つパートナーの存在や,職場でのベテラン保育者のリカレント教育の重要性が明らかになった.また保育者達のキャリア形成における恋愛模様の変化や,パートナー等へ再帰的に依存する様相,つまり再魔術化とも看取できる様相が看取できた.そして今後の課題として,キャリアの広域化を可能にするため,敢えて遠回りするようなキャリア教育の実現を提案すると共に,遠回りの典型例として四大生と短大生とのキャリア意識の違いを明らかにする必要性を示唆した.
著者
玉木 博章
出版者
日本福祉大学福祉社会開発研究所
雑誌
現代と文化 : 日本福祉大学研究紀要 = Journal of Culture in our Time (ISSN:13451758)
巻号頁・発行日
no.144, pp.75-106, 2022-03-31

本稿では 2010 年代に絶大なる人気を博していた AKB48 の歌詞を解釈し,特に「歌詞に共感する」という心理的メカニズムについて,教育学,音楽社会学,心理学,メディア論,若者論といった多角的な知見を援用して分析した.また,その過程において AKB48 の歌詞解釈に関する主たる先行著述者であった宇野常寛の論を批判的に検証することで,AKB48 の歌詞の性質について明らかにし,最終的に宇野の思想に則りながら歌詞を享受していくことがどのような危険性を孕んでいるのか,教育学的な見地から警鐘を鳴らした.AKB48 の歌詞は,自己世界への読み替えが起こりうる構造を示しており,そのことによって歌詞に共感することが,反ってリスナーであり対人関係に悩みやすい子どもや若者をいっそう孤独にしてしまう恐れがあり,宇野の思想はそうした状況を助長させかねないため,外の世界と繋がり,他者の存在を意識していくことが重要であると帰結した.