著者
生田 安司
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.370-374, 2020-07-15 (Released:2020-07-15)
参考文献数
9

気管支切開により摘出した気管支異物の2例を報告する.症例1は84歳男性で,歯科治療中に義歯を誤嚥し,摘出目的で当院へ紹介となった.手術は左底区気管支を横軸方向に切開し義歯を摘出した.症例2は精神発達遅滞のある60歳男性で,胸部レントゲン検査で気管支内異物を指摘され,摘出目的で当院へ紹介となった.手術は左主気管支を長軸方向に切開し異物を摘出した.手術による気管支異物摘出を行う場合,異物の材質や形状,異物の存在部位や介在期間,周囲の気管支肺の状態を考慮し,術式や気管支切開における切開方向を選択すべきである.
著者
荒井 淳一 黨 和夫 生田 安司 内藤 愼二 岡 忠之
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.234-238, 2010 (Released:2011-04-25)
参考文献数
15

症例は68歳,女性.腹部腫瘤を主訴に受診した.腹部左側に弾性硬,辺縁整,可動性不良の巨大な腫瘤を触知した.CT,MRI,腹部エコー検査にて後腹膜に左腎下極に接する8×6cmの分葉状の腫瘤を認め,左腎は水腎症を呈していた.後腹膜に発生した脂肪肉腫の診断で腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は黄白色調・弾性硬であった.腫瘍組織は,lipoblastを有しlipoma様パターンを呈する分化型脂肪肉腫の組織とlipogenesisを失った紡錘形異型細胞の錯綜増生から成る悪性線維性組織球腫様の組織が共存しており,病理組織学的に脱分化型脂肪肉腫と診断した.
著者
生田 安司 木下 義晃
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.301-305, 2020-07-15 (Released:2020-07-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1

ドレナージ困難となった急性膿胸に対して胸腔内線維素溶解療法の有用性が報告されているが,その有効性や安全性は十分に確立されていない.当院でウロキナーゼ胸腔内線維素溶解療法を行った急性膿胸7例を対象にレトロスペクティブに検討した.男性6例,女性1例,平均年齢65.0歳であった.統合失調症やアルコール多飲,高血圧などの併存疾患が5例で認められ,Performance status(PS)はPS 1が3例,PS 2-3が4例であった.ウロキナーゼの平均投与回数は2.9回,7例中6例で改善した.改善した6例のドレーン留置期間は平均6.7日間であった.出血やショックなどウロキナーゼ胸腔内投与による重篤な副作用は認められなかった.手術が選択し辛い症例に対してウロキナーゼ胸腔内線維素溶解療法は簡便であり副作用のリスクも少なく,考慮すべき治療法の1つであることが示唆された.