著者
増澤 真実子 生野 麻美子 中村 美夏 鈴木 典子 天羽 康之
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.133, no.9, pp.2169-2175, 2023-08-20 (Released:2023-08-20)
参考文献数
10

インターネットで話題になっている,洗濯衣類の生乾き臭予防目的に使用したオスバンSⓇ(10%塩化ベンザルコニウム液)による接触皮膚炎の2例を報告する.いずれも前医で診断と治療に難渋し,特異な浮腫性紅斑と強い色素沈着は衣類の密着部位に一致していた.両例とも約1年のオスバンSⓇ使用歴があり,中止により速やかに皮疹は軽快した.塩化ベンザルコニウムによる接触皮膚炎は点眼液によるものが知られているが,洗濯時の不適切使用により全身に皮疹を生じた例は本邦で報告がなく,注意喚起を要する.
著者
生野 麻美子 羽田 俊六 中山 坦子 仁木 富三雄
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.610-616, 1982

体温計破損後ないし歯科治療中に汎発性の皮疹を生じた9例を報告する。皮疹は間擦部位を中心とするびまん性紅斑で大腿内側部より下腹部にかけてのV字型の分布は全例に共通し一見して本症を疑わせる。半数の症例では腋窩を中心に表在性膿疱が密生した。7例は幼児期より赤チンかぶれの既往があり, 貼布試験では全例が水銀及びその化合物に広く反応を示した。臨床的見地よりこれらの症例は水銀蒸気の吸入によりsystemic eczematous contact-type dematitisを生じたと考えた。