著者
田中 信介 渡辺 言夫 宮沢 博 芦原 義守
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.582-587, 1982

妊婦145名についての風疹抗体測定を, 近年開発されキット化されたRUBEHSA<SUP>&reg;</SUP>を用いて行い, HIと比較した. また, 青年女子25名に風疹ワクチンを接種し, そのうち18名について抗体価を測定, その副反応も検討した.<BR>結果は, RUBELISA value 0.14以下を抗体陰性とすると, 抗体保有率は74.1%であった. HIでは23名が8倍未満で, 抗体保有率は84.7%であった. これら2方法の一致率は88.0%であり, 相関係数は0.85であった. 1977年秋の風疹ワクチン接種開始時すでに16歳以上であった予防接種対象外の者が現在妊娠可能年齢層となっており, いまだに妊婦の風疹感染の可能性が残されていると考えられた.<BR>青年女子のワクチン接種では8名32%に副反応を認め, すべてが関節症状を呈し, 関節痛6, 関節腫脹と痛み2であった. 抗体価は測定全例で上昇し, 平均HI価は25.1であった。年齢の高い女子の場合には, 副反応としての関節症状が重要であることが注目された.