著者
松藤 敏彦 田中 信寿 松尾 孝之
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.133-141, 1994

家庭ごみの発生特性を明らかにするため, 札幌市内の3家族をモニターとするごみの計量調査を9年間行った。各モニターは, 排出するごみを, 厨芥, 紙くず類, プラスチック, 金属, ガラスに分けて毎日計量し, 資源回収するもの, 粗大ごみは対象としていない。<BR>厨芥, 紙くず類の排出量は, それぞれ正規分布, 対数正規分布にしたがい, 分布の代表値としてはメジアンが適当である。両者の経年変化は, 紙おむつの使用, 家族人数の変化, 年齢の変化によってほぼ説明できた。また, 季節変動パターンにはモニターごとの特徴が見られるが, 夏の厨芥, 年末, 年度末の紙くず類の増加が, 市全体のごみ量の季節変動の原因と考えられる。曜日変動には, 家庭ごとに固有な一週間の生活パターンが表われている。一方, プラスチック, 金属, ガラスは排出されない日も多く, 対数正規的な排出分布を示す。モニター間の排出量の違いは厨芥が最も大きく, 生活スタイルの差を反映している。
著者
田中 信寿 松藤 敏彦
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.107-115, 1993
被引用文献数
5 7

廃棄物埋立層内における不飽和水分移動は埋立地内の移動現象を解明するための基本的研究課題であるが, まだ研究は進んでいない。埋立層内の水分移動現象にも土壌層内で使用される不飽和水分移動理論が適用されると思われる。そこで中粒砂を対照として焼却灰と模擬ごみを用いてそれらの充填層の不飽和水分移動パラメータ (マトリック吸引圧と体積含水率, および不飽和透水係数と体積含水率の関係) を実測した。<BR>同じ充填層を用いて, ステップ状の降雨開始や停止実験, およびランダムなパルス降雨実験の流出水量経時変化を実測し, 廃棄物層の不飽和水分移動の特徴を実験的に明らかにすると共に, 前述した特性パラメータをRichards式に代入して流出水量変化を模擬し, 日数単位で見ようとするようなタイムスケールでは, この特性パラメータおよびRichards式は有効であることを示した。