著者
松藤 敏彦 石井 翔太
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.382-395, 2011 (Released:2012-01-17)
参考文献数
11
被引用文献数
4 3

ごみ処理計画においては,元素組成,発熱量などのごみの特性値を知ることが重要である。しかし環整95号は代表試料採取の難しさと,組成間の水分移動,異物付着などによる誤差が生じやすい。本研究は,細組成分析値と細組成別特性値からより正確なごみ特性値の推定が行えるとの考えから,細組成別の特性値データベースを作成した。対象は家庭系ごみ中の可燃性成分である紙類,プラスチック類の種類別,および厨芥とし,それぞれ水分流出,異物付着を避けるため,容器包装プラスチック,雑がみの分別区分から試料を採取し,厨芥は燃やせるごみの中から厨芥類のみを入れたプラスチック袋をサンプリングした。紙類,プラスチック類の組成区分は細組成分析実施自治体を参考に決定し,それぞれ43種,36種の試料を分析した。厨芥の試料数は31である。各特性値の分布を示すほか,セルロース,プラスチックの素材,炭水化物,たんぱく質などと比較することで,ごみの詳細な特性を検討した。また分析値の使用例として,ごみ中の塩素の由来,プラスチック中の炭素量を推定し,自治体におけるごみ質分析方法について提案した。
著者
佐藤 法世 松藤 敏彦
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.39-39, 2008

都市ごみ処理施策に対する住民の満足度を,アンケート調査によって評価した。調査方法は収集システム,再使用・減量化,情報伝達など,43の質問からなっている。調査は,住民基本台帳にもとづく無作為抽出,インターネットモニターによる調査,および調査の簡便性のため環境関係NPO団体調査の,3種類を実施した。前2者のアンケート回収率は,50%程度と高率であった。調査方法別に比べると,インターネット,市民団体調査は,無作為抽出結果と差があり,やはり対象の偏りが避けられない。しかし調査の容易さが特長であり,場合によって方法を使い分ける必要がある。質問項目は少ないことが望ましいため,クラスター分析,因子分析によって項目を再分類した。両者はほぼ同じグループにまとめられ,その中から代表質問を選ぶことで調査は簡便になる。なお,回答者属性のうち,年齢のみに回答との相関が見られた。
著者
松藤 敏彦 HAM Robert K.
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.149-157, 1991
被引用文献数
3

ごみ処理を適正に行なうには, 処理対象となるごみの質・量に関する情報が必要である。本研究では家庭から発生するごみに注目し, ともに生活水準は高いがライフスタイルの異なる日米両国でごみの組成分析調査を行ない, 組成別原単位を比較した。比較を意味のあるものとするために, 1) 似通った特性を持つ札幌とマジソン (ウィスコンシン州) を選び, さらにその中から一戸建て住宅地を調査対象地区とし, 2) 同様の調査方法を用い, 3) 両都市のごみの定義の違いを考慮して, リサイクルを含めたすべてのごみの量を推定した。<BR>その結果, 札幌に対して, マジソンの一人あたりごみ発生量は, 紙類は約2倍, 厨芥は2分の1.であったが, yard waste (庭ごみ) を除くと合計量に大きな差は見られなかった。また, 両都市ともリサイクル率は20%前後であった。
著者
松藤 敏彦 田中 信寿 松尾 孝之
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.133-141, 1994

家庭ごみの発生特性を明らかにするため, 札幌市内の3家族をモニターとするごみの計量調査を9年間行った。各モニターは, 排出するごみを, 厨芥, 紙くず類, プラスチック, 金属, ガラスに分けて毎日計量し, 資源回収するもの, 粗大ごみは対象としていない。<BR>厨芥, 紙くず類の排出量は, それぞれ正規分布, 対数正規分布にしたがい, 分布の代表値としてはメジアンが適当である。両者の経年変化は, 紙おむつの使用, 家族人数の変化, 年齢の変化によってほぼ説明できた。また, 季節変動パターンにはモニターごとの特徴が見られるが, 夏の厨芥, 年末, 年度末の紙くず類の増加が, 市全体のごみ量の季節変動の原因と考えられる。曜日変動には, 家庭ごとに固有な一週間の生活パターンが表われている。一方, プラスチック, 金属, ガラスは排出されない日も多く, 対数正規的な排出分布を示す。モニター間の排出量の違いは厨芥が最も大きく, 生活スタイルの差を反映している。
著者
田中 信寿 松藤 敏彦
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.107-115, 1993
被引用文献数
5 7

廃棄物埋立層内における不飽和水分移動は埋立地内の移動現象を解明するための基本的研究課題であるが, まだ研究は進んでいない。埋立層内の水分移動現象にも土壌層内で使用される不飽和水分移動理論が適用されると思われる。そこで中粒砂を対照として焼却灰と模擬ごみを用いてそれらの充填層の不飽和水分移動パラメータ (マトリック吸引圧と体積含水率, および不飽和透水係数と体積含水率の関係) を実測した。<BR>同じ充填層を用いて, ステップ状の降雨開始や停止実験, およびランダムなパルス降雨実験の流出水量経時変化を実測し, 廃棄物層の不飽和水分移動の特徴を実験的に明らかにすると共に, 前述した特性パラメータをRichards式に代入して流出水量変化を模擬し, 日数単位で見ようとするようなタイムスケールでは, この特性パラメータおよびRichards式は有効であることを示した。
著者
松藤 敏彦 東條 安匡 島岡 隆行 吉田 英樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

埋立地の安定化状態の推定は,適正管理のために重要な課題である。本研究は,二つのアプローチによって埋立地内部の状況を推定した。有機物の指標として炭素収支推定の意義と可能性を示し,多数のガス抜き管における測定により浸出水とガスの動きを推定した。またガス抜き管埋設による周囲からの空気引き込みは,長期化が懸念される埋立地の安定化促進に向けた新たな方法を示唆する重要な発見である。