著者
中里 弘 田中 友也
出版者
学校法人 開智学園 開智国際大学
雑誌
開智国際大学紀要 (ISSN:24334618)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.159-169, 2019 (Released:2019-04-08)

プレイセラピーの中でClは死と再生を繰り返し表現することがあり、死と再生のモチーフは心理療法において重要であるとの指摘がある。本論文ではプレイセラピーにおいてClがどのような過程を経て自身を成長させたかを検討し、自身の問題を乗り越える上で死と再生を繰り返すことの意味について考察することを目的とした。遊びの性質・遊びの流れにおいて重要な点が特に似ているプレイセラピー事例13件を基に架空事例を作成し、①ClとThの関係形成期、②Clが自身の攻撃性・破壊性・グロテスクなものをThに投影し、Thを痛めつけて殺害しては復活させた時期、③ClがThを意のままにコントロールした時期、④ClがThをケアする役割になった時期の4期を提示した。ThがClの死と再生の過程を助ける発想を持ちつつ、プレイセラピー原則の中でClが思いのままに表現できるよう対応することが重要であると考えられた。Thがプレイセラピーの中で死んだままにならず、再生して立ち上がることも肝要である。生物学からの考察では、アポトーシスのような死と再生の働きが心の働きにおいても想定されることを示した。
著者
髙橋 遼 田中 友也 美﨑 定也 杉本 和隆
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11851, (Released:2020-11-20)
参考文献数
20

【目的】人工膝関節全置換術(以下,TKA)後の深部静脈血栓症(以下,DVT)に対する予防が重要である。しかし,DVT の理学的予防法の報告は限られている。本研究の目的は,TKA 後のDVT 予防に対する当日理学療法の効果を検証することとした。【方法】研究デザインは,性にて層別化したランダム化比較試験とした。当院で初回TKA を受けた440 名の患者のうち,適格基準を満たした84 名がPT ケア群と対照群に割りつけられた。PT ケア群は,術後当日に下肢挙上位にて下腿マッサージおよび足関節他動的底背屈運動を同時に実施した。メインアウトカムは,術後翌日のDVT 発生割合とした。【結果】術後翌日DVT の発生割合は,PT ケア群11.9%(5/42 名),対照群40.5%(17/42 名)となり,PT ケア群のほうが有意に減少した(リスク比0.29,p=0.003)。【結論】TKA の術後当日理学療法は,DVT 予防に有効であることが示唆された。