著者
山本 敦也 菅野 貴久 町田 善康 中束 明佳 鈴木 雅也 田中 智一朗 金岩 稔
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.125-131, 2020-03-28 (Released:2020-04-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1

北海道美幌町内の小河川において越冬中の外来種ウチダザリガニ抱卵個体を選択的に捕獲することにより,より高い駆除効果を得ることを目的とし,ウチダザリガニの抱卵個体に電波発信器を装着して放流し,越冬中に再捕獲することによって越冬環境について調査を行った.同時に,ドローンに電波受信器を搭載して河道上空を飛行させることにより電波発信源をある程度特定し,その後指向性アンテナを用いて詳細な電波発信位置を特定する方法の開発も行った.2017 年 10 月に 3 個体に電波発信器を装着して放流し,同年 12 月にドローンと八木式アンテナを用いて 3 個体全ての越冬場所を特定,回収した.抱卵個体は河岸より 1-2 m,表土から 60-90 cm の地点の蛇行区間の内側の土中で発見され,越冬環境は蛇行区間の内側といった高水敷全体に広がるものと思われた.そのため,越冬中の抱卵個体の選択的な捕獲は現実的に不可能と思われた.一方で,ドローンと八木式アンテナを用いた電波発信源の特定方法は土中かつ水中でも有効であることが示され,今後の応用が期待される.
著者
林 英男 田中 智一 平出 正孝
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.299-303, 2002-05-05
被引用文献数
7 9

減圧ヘリウムICP-MSは,アルゴンに起因したスペクトル干渉を除くことができる.しかし,m/z=79〜82に小さなバックグラウンドピークがなお存在し,微量な臭素及びセレンの定量を妨害した.本研究では,これらのピークがインターフェース部材質の銅に起因した分子イオンであることを突き止めた.これらのイオンを抑制するため,ニッケル及びアルミニウム製インターフェース部を試作した.その結果,ニッケル製では,広い質量範囲にわたりバックグラウンドピークが生じたが,アルミニウム製ではほとんど観測されなかった.そのため,減圧ヘリウムICP-MSのインターフェース部材質としてアルミニウムが最適であるとの結論を得た.電熱気化法により臭素及びセレンの溶液試料(10ng ml^-1,5μl)を導入して得られた相対標準偏差(n=10)は,いずれも約10%であった.また,臭素及びセレンの検出下限(3σ)はそれぞれ0.2及び0.09ng ml^-1であり,通常のICP-MS(Br 20 ng ml^-1, Se 0.25 ng ml^-1)に比べ高感度な定量が可能になった.