著者
林 英男 田中 智一 平出 正孝
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.299-303, 2002-05-05
被引用文献数
7 9

減圧ヘリウムICP-MSは,アルゴンに起因したスペクトル干渉を除くことができる.しかし,m/z=79〜82に小さなバックグラウンドピークがなお存在し,微量な臭素及びセレンの定量を妨害した.本研究では,これらのピークがインターフェース部材質の銅に起因した分子イオンであることを突き止めた.これらのイオンを抑制するため,ニッケル及びアルミニウム製インターフェース部を試作した.その結果,ニッケル製では,広い質量範囲にわたりバックグラウンドピークが生じたが,アルミニウム製ではほとんど観測されなかった.そのため,減圧ヘリウムICP-MSのインターフェース部材質としてアルミニウムが最適であるとの結論を得た.電熱気化法により臭素及びセレンの溶液試料(10ng ml^-1,5μl)を導入して得られた相対標準偏差(n=10)は,いずれも約10%であった.また,臭素及びセレンの検出下限(3σ)はそれぞれ0.2及び0.09ng ml^-1であり,通常のICP-MS(Br 20 ng ml^-1, Se 0.25 ng ml^-1)に比べ高感度な定量が可能になった.
著者
深沢 力 岩附 正明 平出 正孝
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.634-639, 1976-09-10 (Released:2009-06-30)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

湿式定性分析を結晶化学的又は構造化学的な新しい立場から見直し,新しい知見を得ることを目的として,まず銀イオンと水銀(I)イオンの系統的定性分析で得られる沈殿の状態を光学顕微鏡とX線回折計により調べた.その結果,本来正八面体か立方体の結晶が析出すべきと思われる塩化銀が条件によっては六角(又は三角)板状結晶として析出すること,塩化水銀(I)沈殿に過剰のアンモニァ水を作用させると,いったん生成した塩化水銀(II)アミドが六方晶系又は等軸晶系の水酸化水銀アミド2水和物Hg2NOH・2H2Oに変化してしまうこと,塩化銀共存下で塩化水銀(I)沈殿にアンモニア水を作用させると銀アマルガムが生成する場合があることなどが分かった.
著者
平出 正孝 齋藤 徹 松宮 弘明
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

水中の各種疎水性有機汚染物質を、迅速かつ高効率に除去するため、アドミセルを調製した。アルミナと陰イオン界面活性剤、シリカと陽イオン界面活性剤から調製したアドミセルの内部は疎水的であり、疎水性有機汚染物質が容易に捕集された。また、水酸化アルミニウムと陰イオン界面活性剤の併用により、有機汚染物質や殺菌剤が効果的に除去できた。捕集後いくつかの汚染物質は、バクテリアにより分解されることが分かった。