著者
田中 絵理 小林 義治 小島 美里 大野 恵梨 松岡 久美子
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.157-163, 2015 (Released:2016-03-19)
参考文献数
18

【目的】光干渉断層計(optical coherence tomography以下OCT)を用いた上方視神経低形成(Superior segmental optic hypoplasia 以下 SSOH)の視野欠損部位に対応する網膜層構造の検討をすること。【対象と方法】SSOH4例6眼、正常10例20眼[それぞれ平均年齢20.3±1.2歳(平均値±標準偏差)、21.5±3.0歳、平均屈折(等価球面)-3.58±2.3D、-3.46±2.3D]を対象とした。spectral-domain OCTを用いて下方視野欠損部位に対応する上方網膜および上下対称である下方網膜を、中心窩を基点とし30度刻みで7.5mmのラインスキャンを施行した。検討項目は①SSOH群と正常群の神経線維層厚の比較、②SSOH群と正常群のその他網膜層厚(神経節細胞層+内網状層厚および内顆粒層~網膜色素上皮層厚)の比較とした。【結果】①SSOH群と正常群の神経線維層厚の比較では、上方においてSSOH群が正常群に対して有意に菲薄化していた。下方では有意差はみられなかったがSSOH群で薄い傾向にあった。②SSOH群の神経節細胞層+内網状層厚は正常群と比較し薄い傾向にあった。内顆粒層~網膜色素上皮層厚の比較では有意差はみられなかった。【結論】SSOH群の神経線維層の菲薄化は上方および下方に生じていた。神経線維層欠損部の外層の網膜厚に変化はみられなかった。また本測定法で強度近視に影響されず神経線維層欠損を確認することが可能であった。
著者
大路 牧人 境 徹也 田中 絵理子 澄川 耕二
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.27-30, 2014 (Released:2014-03-12)
参考文献数
17

メトロニダゾール(MNZ)は,嫌気性菌や原虫による感染症に有効な抗菌薬である.薬剤性神経障害の原因薬剤は多岐にわたるが,MNZでも起こりうる.今回われわれは,MNZにより生じた薬剤性末梢神経障害に対し薬物療法を行ったので報告する.症例は77歳の男性である.5カ月前に腰痛が出現し,非結核性抗酸菌性脊椎炎と診断された.MNZ 1,500 mg/日が開始されたが,投与より1カ月で四肢の痛みとしびれ,複視,意識障害,構音障害が出現し,薬剤性神経障害が疑われた.MNZを中止後,中枢神経症状は数日で軽快したが,末梢神経症状は残存した.プレガバリン75 mg/日とトラマドール/アセトアミノフェン配合錠2錠/日を投与されたが軽快せず,当科紹介となった.デュロキセチン20 mg/日を投与したが,無効であったため中止した.その後,プレガバリンを150 mg/日に増量し四肢の痛みは軽減したが,しびれは残存した.プレガバリンはMNZによる末梢神経障害の痛みに対して,投与を考慮してもよい薬剤であると考えられた.