- 著者
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境 徹也
澄川 耕二
- 出版者
- 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
- 雑誌
- 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.4, pp.484-487, 2013 (Released:2013-11-07)
- 参考文献数
- 13
薬物乱用頭痛とは,頭痛治療薬を頻用する結果生じる難治性の頭痛である.今回,複数の頭痛治療薬の頻用が誘因と疑われた薬物乱用頭痛に,ガバペンチンが有効であった症例を経験した.症例は50歳,女性で,中学生の頃から片頭痛を自覚し,市販複合鎮痛薬にて自己対処していた.しかし,12年前に市販複合鎮痛薬を毎日内服するようになり,6年前よりリザトリプタンを毎日,ロキソプロフェンを月に10日以上使用するほど頭痛は悪化していた.当科受診時,患者は連日性の頭痛を訴え,その性状は持続的な締め付け感を伴うものであった.薬物乱用頭痛についての患者教育を行い,リザトリプタンとロキソプロフェンの内服中止と頭痛日記の記載を指導した.5週間後,リザトリプタンとロキソプロフェンの内服を中止でき,ガバペンチンの内服を開始した.11週間後,持続的な締め付け感を伴った頭痛は拍動性の頭痛へと変化し,その程度は軽減した.本症例では,薬物乱用性頭痛の説明や頭痛日記の記載といった患者教育とガバペンチンの投与が,症状軽快に有効であったと思われた.頭痛治療薬の乱用により引き起こされた脳の過剰興奮を,ガバペンチンが抑制したのではないかと推測している.