著者
三澤 江里子 田中 美順 阿部 文明 山内 恒治 齊藤 万里江 鍋島 かずみ
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.141-145, 2019 (Released:2019-08-22)
参考文献数
13

アロエベラ葉肉から機能性成分として同定した植物ステロール類 (以下, アロエステロール) について, 生体の恒常性維持に重要な役割を果たす皮膚機能に着目し, 経口摂取による効果を検討した。ヒト皮膚由来線維芽細胞をアロエステロール存在下で培養する in vitro 試験により, コラーゲンとヒアルロン酸の合成と産生が促進されることを明らかにした。また, in vivo での検討において, 紫外線による皮膚の水分量や弾力の低下が予防され, コラーゲン量の低下とマトリックスメタロプロテアーゼ (MMP) 過剰産生が抑制されたことから, ヒトでの効果を検証するため無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を行った。その結果, アロエステロール含有食品の12週間摂取が, 皮膚の保湿力を高めて肌の潤いを保つとともに, 真皮コラーゲンを増やして皮膚弾力性を維持することを確認した。細胞からヒトまでの試験結果から, アロエステロールが皮膚の健康の維持, 増進に役立つ機能性食品素材として有用であることが明らかとなった。
著者
田中 美順
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.343-347, 2020-06-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
13

アロエは,サボテンのように見えるがユリ科の植物で,その種類は数百種類以上とも言われている.日本では,キダチアロエが観賞用として多く使用されており,その特徴である茎が木のように立ち上がる形状から,キダチは,木立を意味している.一方,アロエベラは,アラビア半島南部,北アフリカ地中海沿岸やアフリカ南部諸島を原産地とし,その特徴として親株を中心に巨大な肉厚の葉が放射状に育つ.その葉は,大きいものでは1枚2~3 kgになることもあり,葉肉は食品の原料として用いられる.今回,われわれが行った研究を中心に,アロエベラ葉肉に含まれるアロエステロールの機能性について報告させていただく.