著者
田中 翔一郎 畦 浩二
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.43-52, 2013-09-30

児童の植物の生命の連続性における概念形成の状態を,植物の発芽の視点から,小学校第5学年の児童を対象に分析した。その結果,児童の植物の発芽に関する科学概念の形成は難しく,一度形成された科学概念も時間の経過とともに再び素朴概念へ戻ってしまうことや植物の発芽条件を植物の成長条件と誤って理解してしまうことが確認できた。さらに,植物の発芽の学習が,児童の植物の生命の連続性の概念形成に必ずしもつながっていないことも明らかとなった。これらの結果から,児童に植物の生命の連続性の概念形成を図るために,学習指導において以下の3点の必要性が示唆された:1)児童の素朴概念を活用した実験を実施すること,2)植物の発芽と植物の成長の学習順序を入れ換えること,3)植物の生命の連続性に関する新たな学習内容を設定すること。最後に,これら3点を踏まえた「植物の発芽と成長」の授業をデザインした。