著者
齋藤 誠二 田中 翔子 松本 和也
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.266-273, 2012-10-15 (Released:2012-12-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

転倒しにくいスリッパを提案することを目的に,スリッパの性質と歩容およびスリッパのズレとの関連について検討した.若年者男性10名と女性10名に異なる4足のスリッパを履かせ8 mの自由歩行をさせた.そして,歩行中における任意の3歩分の歩容と下肢筋電図を分析した.さらに,スリッパの主観評価と屈曲性評価を実施した.その結果,屈曲性の低いスリッパを履いて歩行すると片足支持期における足関節の背屈が抑制されることが示唆された.また,遊脚期終期において足部が床と接触することを避けるために,股関節をより屈曲させるとともに,膝関節の伸展を遅らせる必要があることが示唆された.さらに,ソールの屈曲性が影響していると推察されるフィット性が低いスリッパでは,遊脚期においてスリッパが足部からズレやすいことが示唆された.したがって,高齢者のスリッパによる転倒を予防するためには,適度な屈曲性を明らかにする必要がある.
著者
岡村 好美 田中 翔子 湯地 敏史 木之下 広幸
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

【目的】日本における香りの利用は仏教儀式において始まり、以来日常生活のいろいろな状況で利用されてきた。衣生活での利用も多く、&ldquo;空薫物&rdquo;として香りを着衣に焚込めることや匂い袋を身につける他に、鬢付け油&rdquo;や&ldquo;化粧料&rdquo;として香りをまとう行動に展開されてきた。近年は、手軽な香り剤として柔軟剤が注目を集めている。柔軟剤の本来の目的は、洗濯後の衣服を柔らかく保つことや帯電防止であるが、香りに注目されるようになって香りの残効性や拡散性を強調した製品が多く提供されるようになってきた。柔軟剤の香りを対象とした研究も増えてきたが、使用状況から香りの働きを解析した報告は少ない。 本研究は、柔軟剤の香りの影響について使用状況から解析した。 <br>【方法】先ず大学生を対象として、香りへの関心度を5段階評価で実施して香りの使用意識を明らかにし、次いで5種類の市販柔軟剤を用いて、嗜好及び4段階のイメージ評価を実施した。また、使用状況調査および、柔軟処理試料の香りによる感情状態を調査した。 <br>【結果】学生は適度な強さの香りがある環境は生活に良いと考えており、柔軟剤としては「すがすがしさ」、「気品」が感じられる香りを好んだ。柔軟剤の使用状況は香りの嗜好状況および気分・感情状態と対応した。