著者
鳴瀬 善久 大橋 憲太郎 飯島 典生 田中 雅樹
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

我々は、神経選択的サイレンサー結合因子NRSFの標的遺伝子として心臓で発現する心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)遺伝子の3'UTRに神経選択的サイレンサー配列(NRS)が存在し、心室筋細胞でANPプロモーター活性を抑制することを明らかにした(Kuwahara.K, MCB,2001)。このようにNRSFは神経特異的に発現している遺伝子だけでなく、非神経細胞に発現している遺伝子も制御している可能性が示唆された。そこで新規標的候補遺伝子を探索するために、NRSFまたはウイルスの転写活性化ドメインを持つNRSF-VP16の恒常的発現細胞株を樹立し、内在性の標的遺伝子の発現が減少している細胞株と内在性の標的遺伝子の発現が上昇している細胞株を用いたSubtractive PCR法を行った。その結果、小胞輸送にかかわるkinesin light chain (KIF2)や転写因子Non-POU domain containing octamer-binding protein等を得ることができた。また、ヒト及びマウスゲノムデータベースによるNRS様配列をもつゲノム解析の結果、200を越える標的候補遺伝子を得ることに成功した。その中には、Subtractive PCR法で新規標的候補遺伝子として挙がっている同遺伝子、神経機能に重要なモノアミンオキシダーゼA、B遺伝子や神経回路形成にかかわる遺伝子の他に、新規アンキリンリピートを持つような分子やZn-finger型転写因子を標的候補遺伝子として得た。以上の結果より、細胞を用いた標的遺伝子の評価システムやゲノムデータ解析を用いることにより、NRSFの真の標的遺伝子を理解することが可能となった。