- 著者
-
渡邉 聡子
勅使川原 早苗
國方 友里亜
三嶋 麻揮
田原 稔久
今井 佑輔
金藤 光博
田村 友和
桃木 律也
小武 和正
利根 淳仁
中塔 辰明
- 出版者
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.4, pp.188-194, 2022-04-30 (Released:2022-04-30)
- 参考文献数
- 15
メトホルミンの過量服薬を契機に乳酸アシドーシス,急性腎不全を呈した2型糖尿病の1例を経験したので報告する.症例は50歳代男性.入院2週間前より気分の落ち込み,食欲不振を認めていた.入院2日前の採血で血清Cre 1.50 mg/dL,血糖247 mg/dL,血液ガス分析では異常を認めず,入院前日の採血ではCre 1.42 mg/dLであった.入院前日の夜にメトホルミンを推定4000 mg服用し,嘔気嘔吐,下痢が出現したため,翌日当院へ救急搬送となった.血液ガス分析でpH 6.91,乳酸25.0 mmol/L,採血でCre 4.39 mg/dLと,乳酸アシドーシス,急性腎不全を認めた.来院後速やかに緊急血液透析を開始することで救命し得た.メトホルミンの過量服薬後に急激な腎機能悪化を認めた経過から,メトホルミンによる直接的な腎障害が示唆された.迅速な血液透析が治療に有効であったので報告する.