著者
田口 敬太 石崎 直人 蘆原 恵子 伊藤 和憲 福田 文彦 下村 伊一郎 林 紀行 前田 和久 伊藤 壽記
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.489-497, 2017-07-30 (Released:2017-07-30)
参考文献数
23

糖尿病性神経障害を有する患者に対する鍼治療の効果について検討した.治療は,1週間に1回の頻度で合計7回の鍼治療を行った.初回は置鍼のみとし,2診目からは低周波鍼通電治療を15分間行った.治療部位は下腿に位置する経穴,陽陵泉(GB 34)―太衝(LV 3),陰陵泉(SP 9)―太渓(KI 3)の計4箇所とし,左右に行った.1診目のしびれの平均VASは46.4 mm(95 %CI;36.7-56.1 mm),8診目のしびれの平均VASは24.7 mm(95 %CI;14.5-34.9 mm)であった.鍼治療前後でしびれの自覚症状に有意な改善が認められた(-22.0,95 %CI;10.6-33.5,p=0.001).また,2診目と8診目のこむら返りの回数についても鍼治療を行ったことでこむら返りの回数に有意な改善が認められた(Wilcoxonの符号順位和検定 p=0.045).以上のことから,鍼治療は副作用も少なく,一定の効果が期待できる為,糖尿病性神経障害を有する患者の治療法の一つとして有用な手段となりうることが示された.