著者
澤井 恭兵 菅野 のぞみ 田口 裕大 柳内 充 櫻井 圭祐 深澤 雄一郎 中村 茂夫 高橋 俊司
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.158-162, 2017-03-25 (Released:2017-03-29)
参考文献数
4

培養継続中であった血液培養にグラム染色を行い,菌の染色性と形態から早期に侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease; IPD)を診断することができた症例を経験した。症例は60歳代男性。全身に紫斑が出現し,急激に全身状態が悪化した。培養継続中であった血液培養にグラム染色を行ったところグラム陽性双球菌が認められ,尿中肺炎球菌抗原検査と併せてIPDが早期に診断できた。しかし,全身状態が改善することなく永眠された。本症例から培養継続中である血液培養にグラム染色を行うことで,血液培養自動分析装置で陽性を示すよりも早期に原因菌を推測できることが示唆された。実施には課題もあるが,検討に値する方法であり,この方法を臨床に周知・啓蒙したい。