著者
浦田 隆行 徳満 修三 清野 竜太郎 田坂 雅保
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.29-37, 1999-03-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

水道水中の残留塩素, トリハロメタン, かび臭などの成分を除去する方法を確立するために, 加熱, 沸騰, 保温の仕方による, pH値と残留塩素, トリハロメタン, かび臭の濃度変化を測定した。水道水を沸騰近くまで加熱するとpH値はアルカリ性となった。この条件下では, 残留塩素は不揮発性の次亜塩素酸イオン (ClO-) の状態で存在している。したがって, 水道水中の残留塩素は, 揮発よりも水道水中に溶解している前駆有機物との反応により減少すると推測される。水道水を沸騰まで加熱すると, トリハロメタンは, 残留塩素と前駆有機物との反応により増加するとともに, 揮発により減少する。トリハロメタンを除去する上で, 沸騰時に発生する泡の状態が重要な役割を果たしている。したがって, トリハロメタンを除去するために, もっとも効果的な泡の発生方法を検討することは重要と考えられた。残留塩素が溶液中に存在するときは, 水道水中のトリハロメタンを除去した後でも, トリハロメタンは増加した。沸騰は2-メチルイソボルネオールを除去するのにも有効であった。2-メチルイソボルネオールの量は沸騰エネルギーの増加とともに減少した。
著者
奈倉 正宣 大越 豊 箕浦 憲彦 田坂 雅保
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

PVAにアニオン性、カチオン性及び中性で且つ水溶性のポリマーをそれぞれブレンドして得たハイドロゲル中には3つの状態の水、即ちポリマーへ結合した不凍水、大きな空隙に含まれるであろう通常の水と同じ性質の自由水、および極めて狭い空間に存在し自由水より極めて制限された運動性を有し、且つ水同士の水素結合が弱められている水が存在することを明らかにした。研究された全てのブレンドハイドロゲルはPVAのみから製膜されたゲル膜よりも高酸素透過性を有する事、そしてその理由は単に水分率に依存するのではないことを明らかにした。そして酸素透過係数のブレンド分率依存性はアニオン、及びカチオン性ポリマーのようなイオンを有するハイドロゲル膜では不凍水以外の水の量にも依存せず、その依存性は自由水より制限された運動性を有する水の中を透過するため、その運動性の大小に依ることを明らかにした。一方、中世ポリマーをブレンドしたハイドロゲル膜では大きな空隙の存在が観察されこの存在の有無により透過係数が影響する事を明らかにした。これらのハイドロゲル膜中、アニオン性と中性のポリマーをブレンドしたハイドロゲルでは、ブレンドされたポリマーの全ての分率にわたっては細胞付着・増殖性が見られない事を明らかにした。一方、細胞付着性を増加させると予想されるカチオン性ポリマーをブレンドしたハイドロゲルではブレンド分率が低いときには非付着性・非増殖性を示し、ある分率を越えるとコラーゲンよりも優れた細胞付着・増殖性を示すことを明らかにした。