著者
田宮 昌子 Masako TAMIYA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.323-342, 2009-03-06

本研究は、戦死した親族(筆者の父方の叔父)の遺品を日中戦争従軍時のものを中心に整理し、史料として保存・公開することを目指す。目下、遺品として21世紀初頭の今日まで残った、20世紀初頭から中葉までの記録を留める品々を、個人の私有物から社会に共有される史料とするために裏づけ作業を加えている。関連する文献に当たることは勿論であるが、現場に実際に足を運んで文献では得られない実感を得ること、今まさに世を去りつつある体験者の肉声を聞くことも合わせて行ってきた。今年度は個人終焉の地である沖縄を沖縄戦慰霊の日の6月23日を挟んで訪ねた。小稿では主にこの沖縄訪問・調査について報告する。
著者
田宮 昌子
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.323-342, 2009-03-06

本研究は、戦死した親族(筆者の父方の叔父)の遺品を日中戦争従軍時のものを中心に整理し、史料として保存・公開することを目指す。目下、遺品として21世紀初頭の今日まで残った、20世紀初頭から中葉までの記録を留める品々を、個人の私有物から社会に共有される史料とするために裏づけ作業を加えている。関連する文献に当たることは勿論であるが、現場に実際に足を運んで文献では得られない実感を得ること、今まさに世を去りつつある体験者の肉声を聞くことも合わせて行ってきた。今年度は個人終焉の地である沖縄を沖縄戦慰霊の日の6月23日を挟んで訪ねた。小稿では主にこの沖縄訪問・調査について報告する。
著者
田宮 昌子 Masako TAMIYA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.75-92, 2017-03-10

『論語』は孔子の著作ではなく、言行録であり、弟子たちによって口承され、戦国から前漢にかけて文字テキストに定着していった。漢字による最初期の文献であり、多くの漢字語彙の定義は『論語』における用法を原点とする。その原初性と平易かつ深遠な普遍性の故に、古典中の古典として、中国のみならず日本にも大きな影響を与え、『論語』由来の多くの語彙が現代日本語の中で現役であるように、二十一世紀の現在も中国と日本の言語と文化を支えている。筆者は、この春から勤務校の国際文化学科で『論語』の講読を始めた。国際文化学科で教授するに当たっては、『論語』の読解と暗誦を通して、現代中国語と現代中国人の意識を支える語彙・表現を学習し、中国語上級力を下支えすること、同時に、これらの語彙・表現とそれらから構成される価値の体系が現代日本の言語や文化をも支えていること、東アジアの共通智とも言えるものであることを学び、東アジアに基盤を持つ国際人としての教養となることをも狙いとした。小稿では、21世紀の今日に日本の大学で『論語』を教授する、学ぶという場を契機に、古典について、思想について、『論語』について、日本における中国の言語と文化の受容について…こうした一連の非常に基本的で根源的な問題について考える。
著者
田宮 昌子
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
中国研究月報 = Monthly journal of Chinese affairs (ISSN:09104348)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.1-16, 2015-02

筆者は,失意の士人の志を詠う「悲憤慷慨の系譜」を中国の文の伝統を特徴づける重要な要素として,それを楚辞の伝承の系譜,特にその中心にある屈原像を切り口として考察して来た。この研究主題はもともと現代中国知識人の思惟様式および現代中国の社会と文化を規定する伝統要素についての関心に導かれたものであり,着想の背景には80年代中国における憂国憂民を特徴とする社会的議論と89年民主化運動の顛末があった。「六四」後20年を取材した翰光『亡命』に接し,改めて出発点の関心に思いを致し,「悲憤慷慨の系譜」の現在を,第一次・第二次天安門事件と「その後」における屈原像をめぐる現象と議論から考える。