- 著者
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程 蘊
- 出版者
- 一般社団法人中国研究所
- 雑誌
- 中国研究月報 = Monthly journal of Chinese affairs (ISSN:09104348)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.4, pp.1-23, 2014-04
戦後の中国の対日政策は,中国の国内事情と対日情勢認識のみによって形成されたものではなく,中国政府と政策対象(自民党,社会党,貿易団体など)との相互作用も深くかかわっていた。本稿は池田政権初期において,中国政府と自民党日中友好派との相互作用をめぐる,中国の対自民党政策の形成過程を究明する。「反米中立」の対日基本方針の下で,中国政府は対自民党工作を推進していたが,自民党日中友好派という政策対象からのフィードバックを受けて,その対自民党政策を修正し続けていた。結局,対自民党工作は挫折に終わったが,その工作によって,自民党日中友好派という日中政府間の連絡ルートが形成されることになった。