- 著者
-
田村 徹
- 出版者
- 一般社団法人映像情報メディア学会
- 雑誌
- 映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.10, pp.1527-1529, 1998-10-20
- 被引用文献数
-
14
3
現在, パーソナルコンピュータの表示装置として使用されている液晶ディスプレイ(LCD)の中で, 最もー般的に利用されている動作モードである, ツィステッドネマチックモード(TN)およびスーパーツィステッドネマチックモード(STN)の, 液晶ディスプレイの階調による色度変化および分光放射分布の変化を測定した.いずれの液晶ディスプレイの場合でも, 階調によって三原色の色度点が大きく変化し, 最大輝度の約半分の輝度となるとCIE1931xy色度点の値が最大輝度の場合と比べて最大で0.04も変化する場合があることがわかった.白色点も階調によって変化し, L^*の値が50となると, L^*が100に対して, a^*の値が+10から+15,b^*が-15から-20変化し, グレイが青紫方向に色づくことが確認された.一方, CRTディスプレイの場合には階調による三原色の色度変化はなく, 白色点の色づきもない.近年, ディジタル画像情報がネットワーク内を行き来し, 様々な入出力デバイスがネットワークに接続されるオープンシステム化が進んでおり, システム内での色情報を管理するカラーマネージメントの標準化が進んでいる.その際, 各デバイスにはそれぞれの色再現特性を記述したプロファイルが必要となるが, TNおよびSTNモードの液晶ディスプレイでは, プロファイルの中に, 階調による色度変化の情報が必要となる.一方, CRTディスプレイでは階調による色度点変化はなく, 階調に対する色度情報としては最大輝度での三原色の色度点と白色色度の情報のみでよい.