- 著者
-
秋山 滋男
土井 信幸
田沼 和紀
堀 祐輔
宮本 悦子
- 出版者
- 日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
- 雑誌
- アプライド・セラピューティクス (ISSN:18844278)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, pp.103-118, 2022 (Released:2022-09-15)
- 参考文献数
- 22
一般消費者は疲れ目、アレルギー症状などの軽度な眼疾患の予防や治療を目的にOTC点眼薬を使用している。しかし、点眼薬は無菌製剤であることから不適切な使用による汚染などが原因となりトラブルが発生することが予測される。そのため、薬剤師・登録販売者はOTC点眼薬の購入者に対して適正使用に関する情報提供を行わなければならない。
本研究では、OTC点眼薬の購入経験・使用歴のある一般消費者(以下、購入経験者)を対象として、OTC点眼薬の購入方法とその選択基準や理由、OTC点眼薬の適正使用に関する知識および理解度についてのアンケート調査を実施した。
薬剤師・登録販売者から購入経験者への商品に関する説明状況について尋ねた結果、「特に説明はなかった」が70.7%と最も高い割合であった。OTC点眼薬の開封後に添付の説明書(以下、添付文書)を読むかの設問では、「添付文書を読む」と回答した割合は52.9%(254/480)であった。同様に、購入経験者の適正使用のための主体的な行動指標項目と考えられる「使用時に添付文書を読んでいる」、「薬剤師・登録販売者へコンタクトレンズの使用状況を伝える」、「お薬手帳を提示している」などの項目について実施している割合は低かった。薬剤師・登録販売者からの一般消費者に対するOTC点眼薬販売時に使用目的や患者背景の確認が行われておらず、適正使用に関する指導も不十分である可能性が高く、OTC点眼薬購入者は相互作用、有害事象、副作用などを誘発しやすい状況にあると考えられた。