著者
海津 亜希子 田沼 実畝 平木 こゆみ 伊藤 由美 SHARON VAUGHN
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.534-547, 2008-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
65
被引用文献数
2 10

Response to Intervention/Instruction (RTI) を基にした, 通常の学級における多層指導モデル (Multilayer Instruction Model: MIM〔ミム〕) の開発を行った。MIMを用いて小学1年生7クラス計208名に行った特殊音節の指導の効果が, 学習につまずく危険性のある子どもをはじめ, その他の異なる学力層の子どもにおいてもみられるかを統制群小学1年生31クラス計790名との比較により行った。まず, 参加群, 統制群を教研式標準学力検査CRT-IIの算数の得点でマッチングし, 25, 50, 75パーセンタイルで区切った4つの群に分けた。次に, パーセンタイルで分けた群内で, 教研式全国標準読書力診断検査A形式, MIM-Progress Monitoring (MIM-PM), 特殊音節の聴写課題の得点について, 参加群と統制群との間で比較した。t検定の結果, 4つ全てのパーセンタイルの群で, 読み書きに関する諸検査では, 参加群が高く, 有意差がみられた。参加群の担任教員が行った授業の変容を複数観察者により評価・分析した結果, MIM導入後では, 指導形態の柔軟化や指導内容, 教材の多様化がみられ, クラス内で約90% の子どもが取り組んでいると評定された割合が2倍近くにまで上昇していた。
著者
海津 亜希子 田沼 実畝 平木 こゆみ
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-12, 2009-05-30

通常の学級において、特殊音節に関する多層指導モデル、Multilayer Instruction Model(MIM;海津・田沼・平木・伊藤・Vaughn,2008)を実施した。多層指導モデル(MIM)は、まずは通常の学級においてすべての子どもに対し、効果的な指導が実施される1stステージ、1stステージ指導のみでは伸びが十分でない子どもに対する通常の学級内での補足的な指導である2ndステージ、それでも依然、伸びが乏しい子どもに対し、より柔軟な形態で集中的な指導として実施される3rdステージで構成される。本稿では、3rdステージ指導に進んだ9名の子ども(平均年齢7.2歳、標準偏差0.24)への指導効果を評価した。3rdステージ指導は、1月以降に週1度、給食の準備時間や放課後に1回20分から40分、小集団(5名以下)にてMIM特殊音節指導パッケージを用いて行った。このパッケージでは、(a)視覚化や動作化を通じた特殊音節の音節構造の理解、(b)日ごろよく用いる語を逐字でなく、視覚的なかたまりとしてとらえることによる読みの速度の向上、(c)日常語彙の拡大と使用を焦点においた。指導前後の効果測定には、特殊音節の読みのアセスメント、MIM-Progress Monitoring(MIM-PM;海津・平木・田沼・伊藤・Vaughn,2008)を用いた。結果、指導後に得点の上昇が有意にみられ、さらに読みに対する子どものとらえ方も肯定的なものへ変化した。
著者
海津 亜希子 田沼 実畝 平木 こゆみ 伊藤 由美 VAUGHN SHARON
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.534-547, 2008-12-30

Response to Intervention/Instruction (RTI)を基にした,通常の学級における多層指導モデル(Multilayer Instruction Model:MIM 〔ミム〕)の開発を行った。MIMを用いて小学1年生7クラス計208名に行った特殊音節の指導の効果が,学習につまずく危険性のある子どもをはじめ,その他の異なる学力層の子どもにおいてもみられるかを統制群小学1年生31クラス計790名との比較により行った。まず,参加群,統制群を教研式標準学力検査CRT-IIの算数の得点でマッチングし,25,50,75パーセンタイルで区切った4つの群に分けた。次に,パーセンタイルで分けた群内で,教研式全国標準読書力診断検査A形式,MIM-Progress Monitoring (MIM-PM),特殊音節の聴写課題の得点について,参加群と統制群との間で比較した。t検定の結果,4つ全てのパーセンタイルの群で,読み書きに関する諸検査では,参加群が高く,有意差がみられた。参加群の担任教員が行った授業の変容を複数観察者により評価・分析した結果,MIM導入後では,指導形態の柔軟化や指導内容,教材の多様化がみられ,クラス内で約90%の子どもが取り組んでいると評定された割合が2倍近くにまで上昇していた。