著者
白井 謙太朗 中島 啓介 渡辺 章充 川野 豊 佐久間 啓 吉田 尊雅 宮田 理英 田沼 直之 林 雅晴
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.447-451, 2009 (Released:2016-05-11)
参考文献数
18

インフルエンザ菌 (Hib) による劇症型髄膜炎の1男児例を経験した. 症例は4歳男児. 生来健康であったが, 発熱, 嘔吐を来し傾眠傾向となった. 発症12時間後より細菌性髄膜炎の治療を開始したが, 急激な脳腫脹から脳ヘルニアを来し臨床的な脳死状態となった. 本症例は急性脳症と類似した臨床経過・画像所見を示し, さらには発症1日目の髄液で炎症性サイトカインが著しい高値を呈していた. 文献的考察から, Hibによる劇症型髄膜炎には, DIC (disseminated intravascular coagulation) ・多臓器不全型と急性脳腫脹型があり, 本例はサイトカイン・ストームによる急性脳腫脹型であると考えられた.