著者
川野 豊 西田 俊彦 山岸 里律子 野間 剛
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.478-482, 2000-12-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
6

症例は1歳1ヶ月の牛乳アレルギーの男児. 喘息性気管支炎とアトピー性皮膚炎増悪により入院中にアトピー性皮膚炎胸部病変部において牛乳と接触し, 約5分後より局所に数箇所の紅斑 (直径1~1.5cm) を認めた. それに引き続き頚部・頭部の紅斑及び喘鳴・呼吸困難を示し, 牛乳の経皮的侵入によるアナフィラキシーと診断された. 7ヶ月後, 牛乳を誤飲し, 直後に顔色不良・全身紅潮を呈し, 牛乳の経口摂取によるアナフィラキシーを示した. アトピー性皮膚炎を伴う重症の食物アレルギー児の管理にあたっては, 経皮的抗原暴露による重篤なアレルギー反応の誘発も考慮すべきであると考えられた.
著者
正田 哲雄 畠山 淳司 磯崎 淳 小川 倫史 野間 剛 中村 陽一 川野 豊
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.357-362, 2008-08-01 (Released:2008-11-05)
参考文献数
30

症例は7歳,男児.平成19年6月,マムシに右第3指を咬まれ受傷した.腫脹・疼痛があり近医にて外科処置を受け,受傷約10時間後に当院を紹介受診した.マムシ咬傷の重症度分類はGrade III であった.まむしウマ抗毒素に対する皮内試験は陰性であり,メチルプレドニゾロンを予防投与した後に静脈内投与した.投与直後から,全身に蕁麻疹が出現し,同時に喘鳴・呼吸困難のアナフィラキシー反応を生じた.0.1%アドレナリンを筋肉内投与,ヒドロコルチゾンを静脈内投与し症状は改善した.まむしウマ抗毒素はウマ血清であり,アナフィラキシーを高率に合併するが,小児の使用に関して検討されていない.本邦における小児マムシ咬傷報告例のうち抗毒素血清投与を行った12症例を検討したところ,アナフィラキシーを呈したのは本症例のみであった.海外ではアドレナリン予防投与も行われており,その適用基準の検討を含め,小児例の蓄積が必要である.
著者
鈴木 慎太郎 中村 陽一 川野 豊 西岡 清
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.832-836, 2006-07-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
5
被引用文献数
1

症例は22歳の男性.アナフィラキシーショックで当院に搬送され,直前の食事内容と既往歴より青魚による食物アレルギーが当初最も疑われた.以後,抗原除去を指示して外来経過観察していたが,翌月,翌々月にもアナフィラキシーで来院したため,より詳細な問診を実施したところ被疑抗原として納豆が考えられた.精査入院し,抗原負荷テストを施行し,納豆50gを摂取後9時間後に膨疹など皮膚症状や胸痛を主としたアナフィラキシーが再現され,納豆による食物アレルギーと診断した.ここ数年,納豆によるアナフィラキシーの報告が散見され,摂取後半日経過してから症状を呈する「遅発性」アレルギーと称される特徴的なパターンを示すことが多いとされる.日本の伝統食品でもある納豆は近年海外でも健康食品として注目されており,納豆アレルギーの存在が周知されることが望ましい.
著者
川野 豊
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.165-170, 2016-05-31 (Released:2020-07-01)
参考文献数
6

わが国においては,「食品ロス」は 642 万 ton と推計されており,食品関連事業者と家庭からそれぞれ同程度排出されている。 食品ロスの削減に向けた取り組みとして,以下の取り組みがある。・食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 (以下,食品リサイクル法) に基づく新たな基本方針を策定し,食品廃棄物等の発生抑制を最優先とすることことし,関係者が連携して食品ロスを削減する。・食品リサイクル法に基づき,31 業種について発生抑制の目標値を設定した。・「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム (WT) 」 が設置され,4 年間の討議を通じて,商慣習の見直しについて検討が行われた。・食品ロス削減に関わる省庁が連携して,食品ロス削減国民運動を展開し,関係者の実践を促進した。 大量の食品ロスを排出し続けることは,世界的にも大きな課題である。食品関連事業者,関係府省庁,地方自治体,そして消費者一人ひとりが協力して食品ロス削減に向けて取り組むことが重要である。
著者
白井 謙太朗 中島 啓介 渡辺 章充 川野 豊 佐久間 啓 吉田 尊雅 宮田 理英 田沼 直之 林 雅晴
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.447-451, 2009 (Released:2016-05-11)
参考文献数
18

インフルエンザ菌 (Hib) による劇症型髄膜炎の1男児例を経験した. 症例は4歳男児. 生来健康であったが, 発熱, 嘔吐を来し傾眠傾向となった. 発症12時間後より細菌性髄膜炎の治療を開始したが, 急激な脳腫脹から脳ヘルニアを来し臨床的な脳死状態となった. 本症例は急性脳症と類似した臨床経過・画像所見を示し, さらには発症1日目の髄液で炎症性サイトカインが著しい高値を呈していた. 文献的考察から, Hibによる劇症型髄膜炎には, DIC (disseminated intravascular coagulation) ・多臓器不全型と急性脳腫脹型があり, 本例はサイトカイン・ストームによる急性脳腫脹型であると考えられた.
著者
鈴木 慎太郎 中村 陽一 川野 豊 西岡 清
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.832-836, 2006
被引用文献数
3

症例は22歳の男性.アナフィラキシーショックで当院に搬送され,直前の食事内容と既往歴より青魚による食物アレルギーが当初最も疑われた.以後,抗原除去を指示して外来経過観察していたが,翌月,翌々月にもアナフィラキシーで来院したため,より詳細な問診を実施したところ被疑抗原として納豆が考えられた.精査入院し,抗原負荷テストを施行し,納豆50gを摂取後9時間後に膨疹など皮膚症状や胸痛を主としたアナフィラキシーが再現され,納豆による食物アレルギーと診断した.ここ数年,納豆によるアナフィラキシーの報告が散見され,摂取後半日経過してから症状を呈する「遅発性」アレルギーと称される特徴的なパターンを示すことが多いとされる.日本の伝統食品でもある納豆は近年海外でも健康食品として注目されており,納豆アレルギーの存在が周知されることが望ましい.