著者
田浦 秀幸 田浦 アマンダ
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

当初3年間は、収集データの整理・音声データのポーズ分析・書き起こしデータの正確さ・複雑さ・語彙分析を行い、最終年度は、収集データのうちで物語データに関してナラティブ分析を行った。その結果を過去3年間の分析と総合考察としてまとめた。4才9ヶ月から19歳1ヶ月の間、日英バイリンガル(N=1)を追跡調査したデータ分析の結果、日本在住のためどうしても劣勢言語となりがちな英語の習得について以下の点が判明した。(1)本被験者の英語習得は多くの側面で、英語母語話者の発達段階に類似している、(2)言語間距離の離れている2言語であり、かつ劣勢言語への言語接触が、生活・学校言語である優勢言語(日本語)より少ないが、日英語2言語とも母語話者と同様に発達させることができる、(3)ただし、モノリンガルには見られないバイリンガル特有の誤りやナラティブスタイルも同時に観察された、(4)劣勢言語(英語)への大量で集中的な接触が、ある年齢時期に必要であり、これにより英語母語話者の言語レベルに到達することも示唆された。