著者
日野 克美 陸 君 田浦 秀幸 日野 克美
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

研究課題「日本と中国における大学教養英語の教育比較研究:問題の特質を探る、展望と対策を提出」に平成17年度から平成19年度かけての3ヵ年取り組んだ。当初2懸念は今日と文教大学の陸君が研究代表者を務め、8年目は陸の在外【米国】研究のため宮城大学の日野克美が研究代表を務めた。3研究者は、平成17年9月に上海を訪問し、現地の主だった大学の教養英語の授業を見学・教員及び学生との面接調査を通して、現地学生・カリキュラム・教員の質を精査した。その結果、社会的要因に起因する学生の英語教育への強い動機付けと教員の質の高さ、特に教養英語の授業を全て英語で行える高い英語力が日本における英語教育との比較において秀でていることが判明した。そこで平成18年9月に再度上海地区の大学数校を訪問し、教養英語に加えて将来英語教員を目指す学生の受講する英語専門講義の観察も行い、更に学生・教員から聞き取り調査も行った。この2年間の現地調査と平行して、日本の大学3校と上海地区の大学数校の1回生対象に、入学時及び1回生終了時の2回TOEFL模擬テストをPrs/post-testsとして実施し、各大学・国における教義英語の効果の比較も行った。研究結果をまとめると、「なぜ中国の学生のTOEFLスコアーが高いのか」という端的な間に対して以下の3点に集約される。1)大学教養英語として統一したカリキュラムの基で体系だった教育がなされている2)教員が授業を全て英語で行うほど質が高い3)学生の学習動機が格段に高い(激しい選抜を勝ち抜いてきていることも大きな要因)教員の質が高いことは確かであるが、会議が少ないこと、授業以外に係わる雑務が日本と比べて非常に少ないことで授業に専念できる環境がある事も特笨すべきである事が浮かび上がってきた。3年間の調査研究は一応の一段落を迎えたが、さらに踏み込んだ研究はこれからであると考える。
著者
久津木 文 田浦 秀幸
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
トークス = Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : 神戸松蔭女子学院大学研究紀要言語科学研究所篇 (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.41-48, 2019-03-05

幼児期の二言語獲得は実行機能系やそれと関連する他者理解の能力を促進することが他研究で示されてきたが、早期からの外国語学習や日本語を含む二言語同時獲得の認知的な影響についての知見はほとんど存在しない。本研究では日本語を母語とし早期から英語を学習する幼児を対象に、早期からの外国語学習の認知的な影響を実行機能及び他者理解(心の理論)の観点から検証した。英語力と心の理論課題との関連が示され、英語の語彙を学ぶことが、他者理解を促進する可能性が示唆された。また、英語力が特に葛藤抑制と関連を示し、英語の語彙学習が葛藤抑制能力に影響している可能性が示唆された。また、心の理論と在園期間は関連を示したが葛藤抑制と在園期間は関連が示されなかったことから、葛藤抑制課題の反応時間や成績は言語によって促進された認知能力を反映するのに対し、心の理論課題の成績は社会的経験や社会的能力をより反映することが示唆された。以上のことから、普段から頻繁な使用や言語の切り替えがなくとも、幼少期の外国語学習は、認知に影響を与える可能性があることが示唆された。
著者
久津木 文 田浦 秀幸
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
トークス = Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : 神戸松蔭女子学院大学研究紀要言語科学研究所篇 (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
no.22, pp.41-48, 2019-03

幼児期の二言語獲得は実行機能系やそれと関連する他者理解の能力を促進することが他研究で示されてきたが、早期からの外国語学習や日本語を含む二言語同時獲得の認知的な影響についての知見はほとんど存在しない。本研究では日本語を母語とし早期から英語を学習する幼児を対象に、早期からの外国語学習の認知的な影響を実行機能及び他者理解(心の理論)の観点から検証した。英語力と心の理論課題との関連が示され、英語の語彙を学ぶことが、他者理解を促進する可能性が示唆された。また、英語力が特に葛藤抑制と関連を示し、英語の語彙学習が葛藤抑制能力に影響している可能性が示唆された。また、心の理論と在園期間は関連を示したが葛藤抑制と在園期間は関連が示されなかったことから、葛藤抑制課題の反応時間や成績は言語によって促進された認知能力を反映するのに対し、心の理論課題の成績は社会的経験や社会的能力をより反映することが示唆された。以上のことから、普段から頻繁な使用や言語の切り替えがなくとも、幼少期の外国語学習は、認知に影響を与える可能性があることが示唆された。
著者
陸 君 田浦 秀幸
出版者
京都文教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

この4年間、両研究者は前回科研費の調査方法を改善し、毎年の9月に一週間ほど、上海師範大学・外国語学院の英語学部にて、英語師範専攻の学生を中心に、入学から卒業まで、現地の縦断調査(TOEFL模試、教室内でのエスノグラフィカル・スタディー、学生と教員にインタビユー、学部長らとの会談等)を4回行った。また、最後の2年間は、学生の小・中・高校での実習現場も見学し、教員らとの懇談も実施した。最も印象的のは、見学した授業は全部英語で行い、教科書も系統的てした。調査結果は、二つの共著研究論文(立命館大学言語教育情報研究科に第1号と第2号)と一つの単著論文(京都文教大学人間学研究第14号)に掲載された。
著者
田浦 秀幸 田浦 アマンダ
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

当初3年間は、収集データの整理・音声データのポーズ分析・書き起こしデータの正確さ・複雑さ・語彙分析を行い、最終年度は、収集データのうちで物語データに関してナラティブ分析を行った。その結果を過去3年間の分析と総合考察としてまとめた。4才9ヶ月から19歳1ヶ月の間、日英バイリンガル(N=1)を追跡調査したデータ分析の結果、日本在住のためどうしても劣勢言語となりがちな英語の習得について以下の点が判明した。(1)本被験者の英語習得は多くの側面で、英語母語話者の発達段階に類似している、(2)言語間距離の離れている2言語であり、かつ劣勢言語への言語接触が、生活・学校言語である優勢言語(日本語)より少ないが、日英語2言語とも母語話者と同様に発達させることができる、(3)ただし、モノリンガルには見られないバイリンガル特有の誤りやナラティブスタイルも同時に観察された、(4)劣勢言語(英語)への大量で集中的な接触が、ある年齢時期に必要であり、これにより英語母語話者の言語レベルに到達することも示唆された。