著者
冨田 隆 田矢 功司 島村 栄員 岡田 喜克 岩崎 誠 五嶋 博道 吉田 洋一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.17, no.8, pp.1574-1578, 1984-08-01
被引用文献数
20

大腸癌治癒切除例のうち手術時隣接臓器への浸潤が認められ他臓器合併切除を施行したものは 17.2% (10/58) で, 長期生存は3年10ヶ月, 2年6ヶ月の2症例であるが, 局所再発や播種性腹膜炎による死亡は2例のみで, 合併切除の有効性を示すものと思われた. 肉眼的他臓器浸潤例のうち組織学的に癌浸潤は 57.1% にみられ, 他の42.9%は結合織や膿瘍形成による炎症性癒着であった. 特に膿瘍形成例でその内腔に癌細胞が浮遊し, 相手臓器まで膿瘍腔が連続進展していることから癌浸潤が考えられた. したがって炎症性癒着といえども癌直接浸潤を考慮すべきである.