著者
田邉 勝巳
出版者
日本交通学会
雑誌
交通学研究 (ISSN:03873137)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.171-180, 2009 (Released:2019-05-27)
参考文献数
7
被引用文献数
1

2006年6月に施行された道路交通法改正により、違法駐車の取締り業務の一部が民間委託され、取締りが強化された。東京都で最も早く民間委託が導入された地域の取締りは2年間で5倍以上となり、主要路線の合法駐車を含む路上駐車(二輪車を除く)の台数は58.9%減少した。外部費用の削減額は年間81億円程度と試算され、委託費を十分に上回る成果を得ている。現時点で道路交通法改正の費用対効果は高いが、最適な取締り水準、民間委託導入の程度など、多くの政策課題が残されている。
著者
田邉 勝巳 松浦 寿幸
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.77-97, 2006-08

本研究は,株式市場に上場している電機機械・輸送用機械産業の製造事業所データを用いて,1970年から1998年までの工場の立地選択の要因分析を行った。日本全国の事業所データと企業データを接続し,立地の空間的要素として主要な交通施設(空港,港湾,新幹線駅)までの移動時間,本社と各工場の移動時間を考慮している。工場の立地分析は既存研究でも数多く取り組まれてきたが,交通に関連する要因を考慮しつつ,全国の事業所データを用いた分析は少ない。地方自治体は,一般道路や空港,港湾といった交通インフラの整備に力を入れてきたが,その目的の1つに工場誘致による地域経済の発展がある。当研究は,こうした公共事業が企業誘致にどの程度の効果を持っていたのか,そして近年,どの様に変化したのかを明らかにする。有価証券報告書等により工場の設立年・所在地を特定化し,離散選択分析の一種であるコンディショナル・ロジットを用いて実証分析を行った。分析の結果,最寄りの空港,港湾,新幹線駅まで一定の時間内に到達できることが立地要因の1つであることが分かった。更に,本社までの移動時間が立地選択において最も重要な要因であり,高速道路の延伸は特に本社により近い地域の立地確率を高めることが明らかになった。