- 著者
-
俵木 勉
重田 浩貴
新居 智恵
町野 守
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
- 雑誌
- 日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.1-2, pp.12-20, 2011-08-30 (Released:2014-01-14)
- 参考文献数
- 24
インプラント治療における術前診査は,CT を用いることにより精度が飛躍的に向上し,より安全安心なインプラント埋入が可能となった.しかしながら,下顎骨の断面形態や下顎管終末の走行形態を把握していないと,出血や神経障害といった重大な偶発症を引き起こすこととなる.これまでにも,献体による下顎管の走行形態の研究や,CT を使用して下顎骨の断面形態を調べた報告は認めるが,CT のパノラミック画像,クロスセクショナル画像,さらに3D 画像を用いた報告はみられない.そこで本研究は,105人の患者の下顎骨の断面形態と下顎管の終末の走行形態について,CT の有効性を調べた.その結果,CT 撮影によるクロスセクショナル画像でのみ見ることができる下顎骨断面形態のうち,インプラント埋入で注意が必要なひょうたん型の形態が30.5% 存在することがわかった.また,パノラミック画像と3D 画像から平均で8mm,最長で21mm の下顎管の切歯枝を見出すことができた.これにより,インプラント埋入において,CT による術前診断は必須の項目であり,さらに,CT を用いた診断がより緻密な治療計画の立案を可能とすると考えられる.