- 著者
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北村 明彦
畝山 寿之
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.145, no.6, pp.306-310, 2015 (Released:2015-06-10)
- 参考文献数
- 18
自律神経を構成する交感神経と副交感神経は,一般的に脳から末梢臓器へ情報伝達を行う遠心路としての機能がよく知られているが,これらの自律神経束には求心性神経線維も含まれている.特に,迷走神経束はその70%以上が求心性であり,内臓感覚神経として機能していることが知られている.求心路の働きにより各臓器の状態がモニターされ,自律神経反射によって生体恒常性が維持されている.我々はこれまで,消化管での栄養素受容を求心性迷走神経の活動を指標として評価を行うとともに,その自律神経反射について検討を行ってきた.迷走神経活動測定にはいくつかの方法があり,研究の対象によって評価法を選ぶ必要がある.本稿では,腹部迷走神経が担う栄養素情報の解析に有効な求心性迷走神経線維からの神経活動記録法と,その薬理特性を検討するのに有効な迷走神経下神経節単離ニューロンからの神経活動記録法について紹介する.