著者
今井 悦子 畠山 美穂 中村 紀野 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1233-1243, 1999-12-15
被引用文献数
1

19種類の物性の異なる材料を用い,粒としての認知可能な最小粒度(認知閾値)を粒度の識別の程度を官能検査により明らかにし,物性値との関係を明らかにした.認知閾値はセルロースの51μmから道明寺粉の270μmまでの間に分布した.また粒度が約1.19倍異なる二つの粒子の粒度の識別は全材料がある粒度以上で識別できた.そのある粒度(識別最小粒度)は材料により異なり,セルロースの124μmが最小でそばの487μmが最大であった.しいたけを除いては,すべて認知閾値<識別最小粒度であった.両粒度と各物性値との関係を検討した結果,比較的強固な構造をもち,吸水が緩慢で飽和吸水量も少ないような材料は,両粒度が小さいことが明らかになった.またそのような材料ほど粒度の識別なできなくなってもまだ1粒1粒の認知はできると考えられた.認知閾値は,非常に高い重相関係を持って(R=0.93),七つの物性値を用いた重回帰式で表すことができた.
著者
畠山 美穂 山崎 晃
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.284-293, 2003-12-05 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
1

本研究の目的は,以下に示す4つの点を検討することにある。1つめは,幼児期に見られる攻撃・拒否的行動が,いじめとしての3つの要素(①加害者の人数,②攻撃・拒否的行動の継続性,③被害者の精神的苦痛)をもつかどうかについて検討すること。 2つめは,いじめ場面に見られる幼児の仲間関係について検討すること。3つめは,いじめとしての性質をもつと判断された攻撃・拒否的行動のエピソードの記述からいじめの様態について検討すること。4つめは,いじめに対する保育者の対応について検討することである。観察対象児は,幼稚園年長児34名(男児16名・女児18名)であり,観察期間は1年間であった。観察方法は参与観察法が用いられ,分析方法はエピソード分析とネットワーク分析を採用した。その結果,特定の女児に対して行われた攻撃・拒否的行動が,いじめとしての3つの要素を満たしたことから,幼死期にもいじめとしての性質をもつ行動が見られることが明らかにされた。そして,いじめを発見するためには,保盲者が子どもの発する微妙なサインに対して敏感になる必要があることが示唆された。