著者
原 真也 澤田 成彦 松岡 永 畠山 茂毅 津田 洋 佐尾山 信夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.2141-2145, 2005-09-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
14
被引用文献数
5 4

症例は56歳の男性.統合失調症にて療養中であった. 2003年9月29日にサワラの骨を咽喉につまらせた. 10月1日より発熱を認め,抗生剤投与にて経過観察していたが改善せず10月6日当院に紹介された. CT上,頸部から縦隔内に及ぶ大きなair densityを認め,魚骨の食道穿孔による縦隔炎と診断し,同日緊急縦隔ドレナージを施行した.頸部横切開にてドレナージ術を試みたが,後縦隔下方にまで炎症が及んでおり右開胸を追加した.頸部と縦隔内にドレーンを計5本留置し,術後ドレーンからの持続洗浄を行い,第38病日に軽快退院した. 食道穿孔は保存的治療で対処できることもあるが,縦隔炎などの合併症を引き起こした場合,ほとんどの症例が緊急手術の適応とされる.また穿孔からの経過時間が短いほど治療成績は良いとされており,早期診断と的確な治療方針の決定が重要となる.
著者
坪井 光弘 畠山 茂毅 竹原 雄介 津田 洋 澤田 成彦 佐尾山 信夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.2219-2222, 2007
被引用文献数
1

患者は58歳, 男性. 自宅アパート3階の窓より転落し救急搬送された. 胸部単純写真および胸部CT検査で左多発肋骨骨折, 左肺の透過性低下および左横隔膜の挙上を認めた. 血液検査上transaminaseおよびamylaseの上昇を認めたが, 腹部に身体的異常所見は認めなかった. 腹部CT検査でも異常所見を認めなかった. 入院後血液検査およびCT検査による経過観察で腹腔内臓器損傷は否定できたため, 外傷性左横隔膜ヘルニアの診断で受傷後第3病日に経胸的に手術を施行した. 開胸したところ, 横隔膜の断裂と腹腔内臓器脱出に加え, 心嚢の破裂を認めた. 腹腔内臓器を還納し横隔膜を縫合閉鎖した. 術後特に合併症なく患者は術後23病日に退院した. 外傷性横隔膜損傷は他臓器損傷を合併していることが多く, 合併損傷も考慮し有効な手術経路を選択することが重要と思われた.