著者
畠山 誉史 田中 尚人 佐藤 英一 内村 泰 岡田 早苗
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.49-54, 2011
被引用文献数
1

植物質発酵食品から分離された乳酸菌(<i>Lactobacillus plantarum</i> SNJ81, <i>Lb. fermentum</i> SNA41, <i>Lb. </i><i>parabuchneri</i> SNC91, <i>Lb. delbrueckii</i> SNK64, and <i>Leuconostoc mesenteroides</i> subsp.<i> mesenteroides </i>10D-2)の食品由来の変異原物質における吸着能を検証した。食品由来の変異原物質は肉や魚のこげなどから検出されるヘテロサイクリックアミン(2-amino-1-methyl-6-phenylimidazo [4,5-b] pyridine (PhIP), 2-amino-3,8-dimethylimidazo [4,5-f] quinoxaline (MeIQx), 2-amino-9H-pyrydo [2,3-b] indole (AαC),3-amino-1,4-dimethyl-5H-pyrido [4,3-b] indole (Trp-P-1) and 2-amino-3,4-dimethylimidazo [4,5-f] quinoline(MeIQ))を用いた。乳酸菌のヘテロサイクリックアミン吸着能は様々であった。使用したヘテロサイクリックアミンの中で、Trp-P-1 が最も高く吸着された。そして死菌体に同等の吸着能を有しており、さらには人工消化液存在下でも吸着能を有していた。乳酸菌の変異原物質吸着に関する研究のほとんどは乳由来の乳酸菌を用いた報告である。本研究では、新規分離原として植物質発酵食品であるすんきに着目し、これまで検証されて来なかった植物質由来の乳酸菌を用いて高い変異原物質吸着能を有することが明らかとなった。